刀剣界ニュース

初めて刀を手に取り感動

 去る七月十七、十八日の二日にわたり、東京・日野市の土方歳三資料館において「日本刀鑑賞講座・十一代兼定をもっと知ろう!」が開催されました。
 同資料館では、今年は土方歳三ら旧幕府軍の戦没者慰霊碑が函館に設置されて百四十年の節目に当たり、昨今の刀剣ブームも相まってか、来館者が増加していました。これを背景に、刀剣文化への理解を深めてほしいとの思いから、資料館に所蔵されている土方歳三佩刀・十一代兼定の手入れを三代にわたり行っている菊田刀剣店の協力の下、本講座が企画されました。応募ハガキは百二十通を超え、抽選で選ばれた四十一名が参加されました。参加者は関東圏はもとより、広島・大阪・京都・愛知・静岡・宮城などの遠方からもあり、若い女性の姿も目立ちました。
 講師は研師である苅田直治・直樹の父子が務め、和やかな雰囲気の中で始まりました。まず日本刀の手入れを実際に行いながら、鑑賞のポイント、マナーなどのレクチャーがあり、その後全員が実際に刀を手に取って鑑賞しました。
 鑑賞刀の内訳は、十一代兼定の短刀ニ振、関孫六(二代兼元)の刀一振、そして村正の短刀一振の計四振でした。
 この二日間は、土方歳三の佩刀である和泉守兼定の刀が特別に展示されました。
 今回参加された方々の大多数は初めて刀を手にされたそうです。講座終了後のアンケートでは、「普段は写真であったり博物館のガラス越しであったりと、かなりの心理的な距離を感じながら見ていたが、実際手に取ってみると、それぞれの刀の『歴史』が一気に押し寄せてきて感動を覚えた」「両先生のとても優しく丁寧なご説明・ご指導のおかげで、初心者の私が刀匠の個性や思いを刀を通して感じ取ることができた」などといった感想を頂きました。NHKの「歴史秘話ヒストリア」において土方歳三と十一代兼定が取り上げられると、資料館はさらに賑わいを見せています。
 若者を中心とした刀剣ブームもますます広がっているようで、今回の講座は新しく日本刀に興味を持った若者が、実際の刀を肌で感じる良い機会になったことでしょう。

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