刀剣界ニュース

日本美術刀剣保存協会、公益財団法人に認定さる

 財団法人日本美術刀剣保存協会は三月二十一日、内閣総理大臣より認定書が交付され、四月一日に設立登記を完了、「公益財団法人日本美術刀剣保存協会」(以下「日刀保」)として新たにスタートしました。
平成二十年に施行された公益法人三法(通称)により、各界で認定取得にかかわる大きな動きが見られましたが、日刀保もその取得を方針に掲げて準備を重ね、それが実現したもの。このほど『刀剣界』編集委員会ではその取材に伺いました。後藤安孝事務局長の話によると、定款はじめ諸規則・規程の膨大な資料を約一年がかりで整え、昨年九月三十日、公益財団法人への移行認定を申請、本年二月二十三日、公益認定等委員会へ内閣府担当官からの諮問の後、「認定基準に適合すると認めるのが相当である」との答申に至ったそうです。答申書は、公益法人情報ウェブにて公開されています。
 日刀保の公益認定については、鑑定業務が収益事業ではないかなど、その扱いを心配する声もありましたが、刀剣鑑定による真贋や格付けが、一般に刀剣をわかりやすくする点と、その収益分を公益事業支出に充当していく点などが認められたとのことです。
 また公益認定と並行して、空席だった会長職に小野裕氏(前専務理事)が就任。公益認定の慶事について伺ったわれわれ取材班のところへ気さくに同席していただきました。
 小野新会長は、新しい日刀保について「いろいろなことがあったが、運営には公明性・公共性を取り入れ、開かれた協会を目指している。古き良き伝統は引き継ぐが、新しい法人として生まれ変わって運営するので、ご理解をいただきたい」、また、「協力団体となる支部にも、公益性ある事業には支援をしていく」と話されました。詳細は随時、日刀保のホームページでご覧いただけます。
 公益認定に伴って旧日刀保は今年四月一日に解散登記をし、同日、新しい日刀保を設立登記したそうです。これは文字通り、組織として生まれ変わったことを意味しています。大局的に見て、われわれの刀剣業界にとって大変めでたい環境が整いました。新公益法人は三年内ごとに、その目的に則した活動をしているか、的確に会計処理は行われているか等、厳しい立入検査が続きます。これからが正念場と言えるでしょう。
 この伝統ある、新しい組織に期待しながら、全刀商もファン層の拡充と、公明性ある業界の発展に協力していかなければと思うひとときでした。
 文末となりましたが、取材にご協力くださった小野会長と後藤事務局長に御礼申し上げます。(伊波賢一)

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