刀剣界ニュース

新しい市場「東京刀剣倶楽部」が誕生

「それでは交換会を始めさせていただきます!」
 土肥豊久氏の威勢の良い声が会場中に響きわたった二月二十二日のこの瞬間、東京プリンスホテルにおいて全く新しい交換会「東京刀剣倶楽部」が発足した。
 東京刀剣倶楽部は深海信彦、土肥豊久、飯田慶久の三氏による共同出資の交換会であり、東京に新しい交換会が発足するのは筆者の記憶では、業界に入って以来、初めてのことである。初会の参加者は九十人を超え、予想外の参加申し込みの多さに直前に変更となった末広の広大な会場にはうぶ品、成り行き品が所狭しと並べられ、大変な活況となった。
 本会は「将来の刀剣会の見本となるような明るく公正な交換市場を目指す」との目的のもと、数々の新しい手法が用いられている。すなわち、
・競り売りにおけるくじ引きは一切なし。同時発声であってもとことんまで競ること。
・個向かい取引の禁止、必ず競り場において全員の前で売買を行うこと。
・売り順は抽選。順番の変更は一切認めない。交換会は、品物を持ってきてくださる方々によって成り立っているという前提に立ち、キャリア・発言力などの違いはあっても、す
べての会員が平等に売り買いを行えるようにとの工夫である。ほかにも、入札の原点に立ち返り、
・入札は百万円以上。以下のものは不成立。
 また、所轄官庁である警察庁の指導にのっとり、支払いにインターネットを用いた電子送金を導入、即時引き出しを可能とし、また希望者には小切手払い、現金払いなど多彩な支払い方法を準備している。
 会則にあえて「当会は若手刀剣商及び後継者の育成に重点を置くこととする」と記載し、各役職に若手を登用することも特色としている。
 当日は新会設立のお祝いにと多くの会員から寄せられたうぶ品の数々が盛り上がり、時には驚くほどの高額落札が見られるなど活発な取引が行われ、大成功となった。
 昨今の景気低迷にあえぐ業界の空気を一蹴し、景気向上に向かう一陣の春風になることが期待されている。
※東京刀剣倶楽部は毎月二十二日午前十時から東京プリンスホテル・末広の間(東京都港区芝公園三―三―一)で開催。(飯田慶雄)

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