刀剣界ニュース

「大刀剣市2012」の開催迫る

全国刀剣商業協同組合の最大の共同事業である恒例の大刀剣市を、今年も新橋の東京美術倶
楽部で十月二十六日㈮〜二十八日㈰の三日間にわたり開催します。会場は例年同様に東京美術倶楽部の三階と四階の二つのフロアを使い、受付は四階です。両階は各組合員の展示スペースのほか、組合展示スペース、特別展示の重文室、お宝鑑定のブース、現代刀匠銘切り実演コーナー、食堂などで構成されます。入場料は三日間の共通券とカタログ代込みで二千円です。
 さて、今年で第二十五回を迎える大刀剣市ですが、スタートは東京大手町のサンケイ会館での「刀剣フェスティバル」という名称の展示即売会で、これが’89年でした。ちなみに前年、オークション形式により行われた「全刀商オークション」が最初の共同販売事業で、翌年には現在の大刀剣市の原型となるブース形式の展示即売会へと姿を変えるのです。
 当時は今のような大規模な展示即売会ではなく、出店数はわずか二十一という、現在から比較するとかなり小規模な形で開始されました。
 ’91年の第三回から名称を「大刀剣市」に変更し、’94年の第六回からは会場を現在の東京美術倶楽部に移して開催するようになりました。当初と比べると少しずつ様変わりし、出店希望数も毎年増え続けて現在では七十を上回る規模になっています。
 ここまで至るには、この共同販売事業にかかわってこられた多くの役員や委員、組合員の並々ならぬ努力があったことと思います。特に共同販売事業を始めて間もなくのころはすべてが手探りの状態であり、かなりの苦労と試行錯誤を重ねたと聞いています。当時は出店数が非常に少ないこともあり、現在に比べると参加する側にとっても結構な負担となったようです。
 当時の実行委員会はこの問題を打開すべく、少しでも多くの組合員に参加していただけるよう、出店費をできる限り安くする策として一時期カタログ制作を中止したり、ブース形式をやめてガラスケースだけで会場を仕切ったりと、いろいろな工夫もされたようです。
 一方、より魅力的な展示会にするために特別企画や刀職による実演コーナー、無料鑑定よろず相談(我が家のお宝鑑定)などを設け、内容の充実を図ってきました。これらの努力と工夫が相まって、毎年大勢の来場者を迎えることができるようになりました。近年は特に海外からのお客さまが非常に多くなり、今では世界中の日本刀愛好家や日本刀ディーラーから、大刀剣市は年に一度の大イベントとして認識されるようになりました。
 四半世紀もの長きにわたり、この大刀剣市という共同販売事業を継続することができたのはご支持いただいてきた全国の愛刀家の皆さま、そして初回より後援をいただいている産経新聞社、フジサンケイビジネスアイ、協賛をいただいている全日本刀匠会、その他関係各位の温かいご支援のたまものでもあります。
 『刀剣フェスティバル』の巻頭挨拶文で初代理事長の柴田光男氏は「一歩一歩の尊さ」について記しておられます。一歩一歩地道に歩むことで、その一つ一つの小さなつながりが大きな結果を生む、という思いを込めたこの言葉をあらためて肝に銘じ、この事業が今後さらに発展するよう努力していきたいと考えます。
 大刀剣市には日本の伝統文化である刀剣・刀装・甲冑・武具などへの関心を高める場とし、新たな愛好者を開拓することを目的にした啓蒙活動のほかにもう一つ、この機会を社会福祉活動とする意義づけがあります。
 大刀剣市では、難病を抱える子供たちに手を差し伸べる「明美ちゃん基金」に賛同し、毎年浄財を募って寄付させていただいております。さらに昨年の大刀剣市では、深海理事長の理念の一つでもある社会への貢献ということに重点を置き、われわれ刀剣商が社会にどのように貢献できるかをあらためて考え、平成十二年の「三宅島噴火義援金チャリティーオークション」以来九年ぶりとなるチャリティーオークション「東日本大震災復興支援チャリティーオークション」を開催しました。そして昨年の大刀剣市はこのチャリティーオークションともども、大変な盛況のうちに無事閉幕することができました。
 今年は昨年のチャリティーオークションのような特別な企画はありませんが、三階重文室において「清盛と頼朝の時代の刀」と題し、平安末期から鎌倉初期に至る古名刀やこの時代にゆかりの品物を一堂に並べる特別展を併催します。また四階で恒例の「我が家のお宝鑑定」、全日本刀匠会の協賛で現代刀匠による銘切りの実演も行います。
 今年に入ってから、ヨーロッパではギリシャのEU離脱危機という問題がありました。その影響で、今度はスペイン国債の信用不安の広がりに伴う金融機関の急激な資金力低下を建て直すべく、大規模な金融支援策が今後行われようとしています。その結果、ユーロの価値が対円で大幅に下落し、ヨーロッパ経済の失速が昨今の日本の経済の現状を引き起こす一つの要因となっております。それがわれわれの刀剣界にも非常に大きな影響を及ぼしています。
 今年の大刀剣市は初心に戻り、この共同販売事業を地道に成功させることで、短期的な損得でなく刀剣界全体にとっての後々の大きな利益に結びつくよう、組合員各位のご協力を心よりお願いしたいと思います。
 今回は例年以上にたくさんのお客さまをお迎えし、大いに楽しんでいただきましょう。(朝倉忠史)

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