刀剣界ニュース

今回の「大刀剣市」ディスプレー大賞は?

大刀剣市がサンケイ会館から会場を移し、東京美術倶楽部で開催されるようになって、早いもので二十年を迎えた。
 各店舗の展示様式にも毎年工夫が凝らされ、確実に進化している。限られたスペースをさまざまにデザインして独自の個性を表現し、お客さまにアピールすることはとても大切なことである。
 今回も七十三もの店舗が出店していると、お客さまとしてはどの店が一番見やすく交渉しやすいか、選ぶのに一苦労である。
 より良い店作りに他店の展示を見学し、学習することは、来年度につながる実に有意義な方法である。初日の開店前は何かと忙しく、かつ朝礼があるので無理であるが、二日目か三日目の開店前に、朝の挨拶を兼ねて他店の展示を見学することをお勧めする。私も、今年は何か面白い展示方法はないかなと思いつつ、楽しみながら歩き回る。
 二十年前は、店舗の大きさに大小あるものの、展示方法は皆同じようであった。しかし、現在ではいろいろと様変わりしてきた。そこで、いくつかご紹介してみる。
 今では自店のスペースを黒・朱・紺などのさまざまな布で囲っている店を多く見かけるが、最初に黒色で囲ったのは泰文堂の川島さんだった。実にてきぱきと簡単に囲い、店全体を引き締めている。
 次に、店舗の存在感をより明確にするために、暖のれん簾を最初に張り巡らしたのは銀座長州屋の深海さんだったと記憶する。今では多くの店舗が暖簾を掲げ、お店のアピールに役立てている。
 背面の平台は通常二段であるが、これを三段あるいは四段にしたのも、やはり川島さんのアイデアである。何店舗か三段を希望しているが、この方法は少々難しいので注意が必要である。
 背面の平台の高さが従来やや低く、お客さまが見づらいというので、十センチほど高くしたらどうかと提案したのが髙橋正法君だ。三年前から全店舗がこれを実施している。
 刀架けも年々進歩してきている。最初はベニヤ板で、側面が折れやすかったが、合板に改良してからはその心配はない。以前のものは高さもやや高く、安全性を考慮し、今では低くしている。
 そして今回、刀架けのニューモデルを発見し、非常にうれしかった。もしディスプレー大賞があったら、間違いなく優勝だろう。それは藤古堂にあった。
 素材が透明なアクリルのために、刀身が傷つくことは決してない。自由自在に大きくも小さくも変えられ、加えて角度も変えられるように工夫してある。一番うれしいのは、白布を掛ける必要がなく、実にシンプルで刀身をより引き立ててくれる。
 将来の刀架けの見本となる逸品である。現在は単価が少々高くついている(刀用一組八千円)との話であるが、大量注文することにより下げることは十分可能と思われる。
 刀架けの話のついでであるが、白布掛けの名人は、川島さんのお嬢さん香かなこ奈子さんだ。無理を言って、重文室での毎年の展示や今回の新作名刀コーナーの白布掛けにご協力願った。
 白布を左右対称に分け、富士山の稜線のようにきれいに仕上げ、刀剣をより美しく見せてくれる。上手に飾りたい方は一度、彼女に教えてもらうとよい。
 丸英刀剣店の飾り付けも一見の価値がある。空間を十分に取り、あまり多くを飾らない。そして側面に雛壇形式の独特の刀台を製作し、スペースを有効に利用している。
 倉敷刀剣美術館も参考になる。いわゆるスッキリした展示である。プライスカードは、展示にはどうしても邪魔な存在である。しかし、最も必要なものだ。この点、実に上手に処理している。ぜひ一度訪れてほしい。
 プライスカードも各店舗さまざまであるが、近年、円だけの表示でなく、外人向けにドル建てで表示している店もあり感心した。
 今回初参加の秀美堂の飾り付けも面白かった。背面の平台がなく、すべてガラスケースにして前面をオープンスペースにする方法だ。
 また、今回初めて縦長のガラスケース(高さ一五〇センチ)の注文があり、見て回った。刀剣類の展示は無理であるが、刀装具は数多く展示でき、加えて見やすい。今後は需要が増えそうである。
 限られたスペースをいかに有効に活用するかは、それぞれの店舗の努力にかかっている。毎年進化するディスプレーを真剣に考え、見習い、個性あふれる
素晴らしいお店作りを期待する。紙幅の都合で、商品の飾り付けやプライスカードなどに関しては、次の機会とする。(冥賀吉也)

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