刀剣界ニュース

泉公士郎氏が「金工の技」を披露

一月二十四日、東京六本木のアークヒルズクラブにて「伝統工芸金工の技」と称し、日本が誇る伝統工芸を現代に伝える金工・泉公士郎氏を迎えて講演会と作品の鑑賞、公開実演が開催されました。
 
龍泉の雅号を持ち、公益財団法人日本刀文化振興協会で幹事を務める泉氏は、昭和二十一年岩手県の生まれ。同協会の新作日本刀・刀職技術展覧会に刀装具を招待展示されて高い評価を得る一方、伊勢神宮の大神宝・御鏡筥、御玉箱の螺鈿切抜製作をはじめ、国宝の「洛中洛外図.風」上杉本の修復や重要無形文化財の復元など、幅広いものがあります。
 
また、近年では「平家納経」八双の金具を当時の技法をもって再現、その模様はNHKの「徹底解明国宝・平家納経.平清盛その美の世界.」で紹介されています。
 
大陸からわが国に伝えられた金属器の製作技術は、さらに鋳金・鍛金・彫金など独自の技術が育まれ、連綿と受け継がれて刀剣やその装飾に開花しました。明治の廃刀令後は、さまざまな細密工芸に応用されてきました。その高い技術力は、精緻なモノづくりの源であると言えるでしょう。
 
会場には鐔や目貫、香合ほか、泉氏の作品が多数展示される中、実演の小気味よい鏨のリズムが響きます。その間にも、参加者との飾らない語り口でのやりとりがあり、穏やかにそして和やかに時は過ぎていきました。
 
今回の講演と実演披露に参加されたのは、同クラブのメンバーを中心に泉氏との交流のある方が加わり、ご婦人方も多く見えられました。日本文化の理解に良い機会となったことでしょう。
 
また二月二十二・二十三の両日は、有楽町の日本外国特派員協会で同氏の作品展示会があり、これも外国人記者らに好評をもって迎えられました。
 
泉氏には、今後のさらなるご活躍が期待されます。
(伊波賢一)

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