刀剣界ニュース

海外の刀剣事情 アメリカのソード・ショーを中心に

ここ数年、「大刀剣市」には海外から熱心な愛刀家の方々多数にご来場いただいています。アメリカやヨーロッパ、アジア、ロシア、アフリカなど確実に世界中の愛刀家が増えています。アメリカでは年に三回、ソード・ショーが開かれます。二月のタンパ・ショー、四月のシカゴ・ショー、八月のサンフランシスコ・ショーで、小さなショーならアメリカ国内でもまだいくつかあるそうです。
 
会場には所狭しと刀剣、刀装具が展示され、盛んに売買取引がなされます。各ショーとも全米はもとよりヨーロッパ、ロシア、アフリカなどから、やはり熱心な愛刀家の方々が大刀剣市同様に大勢集まってきます。
 
彼らもまた、われわれの大刀剣市のように、いかにお客さまに楽しんでいただくか工夫をしています。その一つが、日本から職人さんを招いて行う公開実演です。海外では滅多にお目にかかれない機会ですから、お客さまは興味津々です。
 
基本的に会場はホテルの大広間であることから、当然会期中はそのホテルに宿泊しての開催になります。朝は九時ごろに始まり、夜は十時ぐらいまで開かれるなど、日本とは少し違った感覚で皆さんがそれぞれに楽しみながら行われています。
 
また海外の愛刀家の方々は、われわれと変わりなく熱心に勉強にも取り組んでおり、その姿はわれわれも見習わなくてはいけないほどに真剣そのものです。定期的に鑑賞会を開いたり、インターネットを通じて盛んに意見交換などをしています。
 
われわれなら疑問に思ったこと、わからないことがあるとき、先生方や諸先輩に簡単に質問ができたり、多くの刀剣書をひもといて調べたりすることができますが、彼らは簡単に質問をすることもかなわず、言葉の壁があるために本を読むことも難しいのです。われわれにとっては当たり前のことが、彼らにはその一つ一つが大きな障害となっています。そんな状況にあっても、刀を愛する気持ちは国境、言葉の壁も越え、確実に世界に広がっています。
 
これからの刀剣界全体の使命として、日本国内での普及啓蒙活動だけではなく、グローバルな展開が求められます。二〇〇九年秋にニューヨークのメトロポリタンミュージアムで開催された”ART OFTHE SAMURAI”のような展覧会が世界中で開かれることにでもなれば、日本刀は一部の愛刀家だけのものではなく、世界の文化遺産として尊敬を集めるものになるでしょう。
 
私も刀剣界の一員として、自分のできることを小さなことからでも行っていきたいと思います。
(齋藤 恒)

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