刀剣界ニュース

本阿彌光洲氏が人間国宝に 刀剣研磨で5人目、刀剣界で12人目の快挙

文化審議会(宮田亮平会長)は七月十八日、重要無形文化財保持者(人間国宝)に刀剣研磨の本阿彌光洲氏(七五)=本名道弘、東京都大田区=ら七人を認定するよう下村博文文部科学大臣に答申した。政府は九月にも告示する予定。
 
刀剣界ではかつて「日本刀」や「刀剣研磨」「肥後象嵌・透」が重要無形文化財に指定され、刀匠六、研師四、金工一がそれぞれの保持者に認定されていたが、昨年六月、天田昭次氏の逝去により人間国宝は皆無となり、指定も解除されていた。現状を憂い、本紙では挙げて人間国宝の誕生を望むと訴えてきた。今回の認定は、刀剣界全体にとって、誠に喜ばしいニュースである。
 
本阿彌光洲氏は、昭和十四年東京に生まれ、同三十七年から父本阿彌日洲氏(本名猛夫、人間国宝)に師事し、室町時代より日本刀の研磨等を生業としてきた同家に伝わる伝統的な刀剣研磨の技法を、高度に体得してきた。同氏は、現代の刀匠によって鍛造された刀剣を研磨し、優れた日本刀を世に送り出すとともに、国宝・重要文化財等に指定された数多くの刀剣の研磨を手がけ、有形文化財の保存にも寄与している。
 
その優れた研磨技術が評価されたことにより、昭和四十六年に研磨技術等発表会(現「刀剣研磨・外装技術発表会」)無鑑査となった。その後、刀剣に関する豊かな見識を生かし、平成五年以降、同発表会をはじめ、新作刀展覧会(現「新作名刀展」)、お守り刀展覧会、新作日本刀・刀職技術展覧会など、刀剣に関する多くの公募展の審査員を歴任した。
 
また、同十二年以降、美術刀剣研磨技術保存会会長、公益財団法人日本刀文化振興協会理事長などの要職にあって、後進の指導・育成に尽力している。

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