刀剣界ニュース

世界で活躍する剣士 日本武徳院 試斬居合道 師範 黒澤 雄太さん

日本とスイスの国交樹立百五十周年となる本年、世界三大ジャズ・フェスティバルの一つに数えられるモントルー・ジャズ・フェスティバルにて、記念イベント「ジャパン・デイ」が開催された。毎年約二十五万人が訪れるこのイベントの会場で、真剣による演武が披露され、世界の注目を集めたことをご存じであろうか。
 
当日は現代のジャズ・シーンを代表し、世界を舞台に活躍するピアニストの上原ひろみや、ギタリストの布袋寅泰をはじめ、日本を代表するトップ・ジャズミュージシャンらによる生演奏が行われた。これを記念し、公式前夜祭パーティー‘Bonding Party inMontreux Jazz Festival 2014’が開催され、剣士の黒澤雄太さんがイベントの成功と両国のさらなる友好を祈って真剣での演武を披露されたのである。
 
現在、日本武徳院試斬居合道にて師範を務める黒澤さん。最近では、別冊宝島『日本の武器と武芸』に掲載された特別インタビュー「日本刀で何を『斬る』のか」をご覧になった方も多いだろう。 「剣禅一如」の言葉が表す通り、武道と禅の合一を極めんとし、さらには佐野美術館館長・渡邉妙子先生に師事し、日本刀の鑑定学を修養する氏の求道の姿勢は深く本質を突いている。
 
記事では、真剣との出会いや武道への覚醒、現代における「斬る」ことの意味、小手先技ではなく本質を見極めることの重要さなどが語られている。
 
黒澤雄太さんは昭和四十三年神奈川県横浜市生まれ。六歳から剣の道を志し、平成十年、三十歳で自身の道場「日本武徳院試斬居合道」を創立する。流派を名乗らず、連盟などの組織にも加盟せず、型、試斬、それらを貫く心の鍛錬を軸に据えた「試斬居合道」を提唱する。
 
現在、横浜と東京に開く道場には十代から六十代の幅広い男女が通う。また、道場の活動だけにとどまらず、公開の演武や講演などにも力を入れている。
 
演武による国際交流には、多くの実績がある。パリのカルティエ現代美術財団、ポンピドゥーセンターなどフランスでの演武をはじめ、インドのナグプールではインド仏教指導者・佐々井秀嶺師の建立した龍樹菩薩大寺に日本刀を奉納し、落慶記念奉納演武を行った。著書に『真剣』(光文社新書)がある。
 
内外で日本刀文化の啓蒙普及に努める黒澤雄太さんのますますの活躍に、今後も注目していきたい。
(飯田慶雄)

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