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「生誕二百年記念清麿展」記念碑除幕式が挙行さる

標高の高い信州では、十月中旬ごろから周辺他県よりも一足早く紅葉前線がやって来ます。そして信州の秋は一気に野山を駆け下り、麓の街並みを鮮やかに染め抜く紅葉とともに足早に過ぎていきます。
 
残暑が一段落するころから、朝夕の寒暖差が十度以上になる日が続くことにより、紅葉はとびきり鮮やかに染まります。
 
そんな錦繍に彩られた信州の去る十一月十五日、長野県坂城町にある「鉄の展示館」において、平成二十二年の開催以来四年ぶりとなる長野県三支部合同の「山浦忌名刀鑑賞会」が行われました。またこの日は、平成二十五年に開催された「生誕二百年記念清麿展」を記念して鉄の展示館入り口に記念碑が設立されることとなり、そのお披露目を兼ねた完成披露式も同時に執り行われました。
 
展示館の周りの木々が赤・オレンジ・黄色に染まり、少し肌寒く澄んだ空気の中で、県内外から総勢六十六名が集い、午前十一時より式典が始まりました。当日の天気は雨の予報でしたが、朝は晴れ間も見えました。式典の最中には時折、小さな雨粒がパラパラと落ちることもありましたが、粛々と進行していきました。
 
開会の宣言の後、本展の澄川喜一実行委員長の挨拶を皮切りに、来賓の方々からご祝辞を頂きました。木内ひとし衆議院議員、若林健太参議院議員、財団法人佐野美術館・渡邉妙子館長、そして坂城町・山村ひろし町長と続き、次いで記念碑の除幕式が行われました。
 
来賓の方々によって紐が引かれると、アンベール幕がするりと落ち、そこには高さ二・五メートルもの立派な記念碑が姿を現しました。日本美術刀剣保存協会元顧問で、清麿展実行委員会副委員長でもある寺尾文孝氏より、記念碑設置に至った経緯と記念碑の銘文について紹介がありました。
 
この記念碑は、生誕二百年を記念する清麿展の実行委員、ならびに同展覧会の趣旨に賛同してくださった方々のお力添えにより、設置されることになったものです。記念碑の表には長野県宝に指定されている嘉永二年八月日の刀の銘字が転写されています。そして裏面には、同展覧会実行委員および協賛してくださった方々の芳名が刻まれています。
 
除幕式が終わりに近づくころには小雨もすっかりやみ、爽やかに晴れ渡った空の下、記念碑完成披露式は無事終了しました。
 
除幕式の後は、近くにある食事処「しなの木」にて昼食会があり、その後再び鉄の展示館に会場を移し、午後一時より三支部合同による名刀鑑賞会が行われました。
 
鑑賞会には各支部会員からの出品と、渡邉館長が特別にご持参くださった刀剣合わせて二十一振が並びました。(作品は別表の通り)
 
今回は、山浦忌の名刀鑑賞会ということで山浦一門の作品が主となり、また会場設営の関係で点数も限られました。これらの展示品以外にも、会員の皆さまから重要美術品・特別重要刀剣などの名刀を多数ご持参いただいておりましたが、残念ながらこれらを鑑賞することはできませんでした。
 
参加者はおよそ二時間、清麿に思いを馳せながら思い思いに鑑賞しました。その後は、渡邉館長により刀剣の解説と、新たに発見された萩での清麿の動静に関わる資料や情報などについての貴重な講演があり、一同聞き入りました。
 
そして午後四時、盛況のうちに本日の行事は滞りなく執り行われ、お開きとなりました。
(朝倉忠史)

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