刀剣界ニュース

新作名刀展に「高松宮記念賞」が再開

本年の新作名刀展から高松宮記念賞が再開いたします。近年の公益財団法人日本美術刀剣保存協会の運営状況などを鑑みて、再開決定の運びとなりました。
 
本欄では、再開に当たってあらためてその意義深さを再認識すべく、その栄えある歴史を回顧することといたします。
 
高松宮記念賞は、昭和四十八年の第九回新作名刀展から、高松宮賞としてその歴史を歩み始めています。光輝ある第一回の受賞者は吉原義人刀匠でした。この年の新作名刀展は、四月に上野松坂屋で開催され、会場には殿下の御台臨を仰ぎ、熱心にご覧になったことが当時の『刀剣美術』誌からも伺うことができます。華麗な歴史が始まったのです。
 
吉原刀匠は翌年も受賞され、その後は以下の方々がこの賞を受賞されました。
 
月山清刀匠・小澤岩造刀匠・河内道雄刀匠・上林勇二刀匠・大野三男刀匠・山口武刀匠・橋次男刀匠・宗勉刀匠・三上孝徳刀匠・宮入恵刀匠・宮入法廣刀匠・尾川邦彦刀匠・吉原義一刀匠・尾川光敏刀匠・宗正敏刀匠・松田周二刀匠といった方々であります。まさに現在の作刀界を担う錚々たる面々と言える方々です。
 
高松宮記念賞が作刀界にいかに大きな励みと栄誉となってきたか
が、この受賞者のお名前を一瞥し
ても理解されます。
 
このような大変に名誉ある素晴らしい賞が再開されることは、刀剣界にとっても慶事であり、刀匠の皆さんにとっては最大の目標となることは申すまでもありません。故高松宮同妃両殿下の伝統工芸への思いを、われわれはしっかりと受け止め、日本刀のみならず日本文化伝承の担い手として日々精進し、さらなる高みを目指していきましょう。
(公益財団法人日本美術刀剣保存協会 たたら課長 黒滝哲哉)

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