刀剣界ニュース

平成二十七年度「新作名刀展」 高松宮記念賞効果か、出品数三割増

夏到来と言いたくなるような気持ち良いお天気に恵まれた四月二十八日、私は公益財団法人日本美術刀剣保存協会に伺い、「新作名刀展」表彰式を取材してきました。
 
会場の刀剣博物館四階講堂には、受賞者のほか、小野裕会長をはじめ理事・審査員、関係者の方々が集い、表彰式は午後一時より厳粛に執り行われました。本年度より高松宮記念賞の交付が再開したことも手伝って、総出品数は昨年の三十パーセント増との報告もあり、近年になく賑やかな授賞式だったように思います。
 
まず、小野会長より開会の挨拶を兼ね、伝統技術の保護と普及・啓蒙という公益活動の下に行う新作刀展であることの意義について説明がありました。
 
続いて、入賞者の表彰が執り行われました。作刀の部では、太刀を出品した久保善博さんが高松宮記念賞を、刀を出品した髙橋祐哉さんと剣を出品した加藤政也さんが、彫金の部で山下秀文さんがそれぞれ日本美術刀剣保存協会会長賞を受賞しました。さらに、作刀の部と彫金の部で薫山賞と寒山賞が授与され、続いて優秀賞、努力賞、新人賞、入選の表彰が行われました。
 
この後、審査員より講評が行われました。
 
作刀部門の吉原義人審査員は、地鉄は疵や欠点がなく大変良いものが多かった。形も重要である。長さに比して太さは適当であるか、反りは少なくないか、注意してほしい。裸焼きと言って、焼入れ時に土置きせず、刀から出る泡によって刃文を表した作品があったが、これは作者自身の感性を表現しているものとは言い難く、今後は古作の景光・兼光・一文字のように、見て誰が作ったかわかるような作品を作ってほしい、と述べられました。
 
刀身彫の部では柳村重信審査員が欠席のため、飯田俊久学芸部長が代読されました。彫刻は大きさを含めて配置とバランスが重要である。刀身彫の材料となる刀身が高価なためであろうか、出品数が少なかったことは残念である。刀の自身彫の出品も期待される、などの指摘がありました。
 
彫金の部では萩原守審査員が、古作を見て写すなど伝統手法を学ぶことで、品格と良識を兼ね備えた自流を確立して、人々の心を打つ名品を作ってほしい。無鑑査作品に追いつけ追い越せの気力で、一層の精進を願う、と講評されていました。
 
最後に、受賞者を代表して高松宮記念賞の久保刀匠から、審査に関わられた方々へのお礼と併せ、刀剣文化が世界遺産に登録されるなど将来の発展を願うとの答辞が述べられました。
 
私は、昨年に引き続き新作名刀展表彰式に出席させていただきました。主催者と刀職者とが連携を深め、刀剣文化の継承に尽力されていることに、取材を重ねる度に感動させられます。
 
世界に誇れる私たちの日本刀を発展させていくことは、私たち刀剣関係者の切なる願いであります。刀職者の皆さんに敬意を払いつつ、これからも高らかに声援を贈っていきたいと思います。
 
新作名刀展の開催日程は、刀剣博物館四月二十八日㈫〜六月七日㈰、致道博物館(山形県)八月一日㈯〜二十日㈭、川越市立博物館(埼玉県)は九月中旬を予定している。

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