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日光東照宮に新宝物館がオープン

三月十三日にオープンしたばかりの日光東照宮宝物館を訪れ、「徳川家康と日光東照宮」展(.五月三十一日)を見学した。
 
平成二十七年は、日光東照宮で五十年ごとに斎行される式年大祭の年に当たり、日光東照宮が四百年式年大祭記念事業の目玉として宝物館を新設した。
 
約五十年ぶりに新しくなった宝物館は、高さ十三メートルの鉄骨二階建て、延床面積二二七〇平方メートル。総工費二十億円をかけ、屋根の一部には日光杉並木の杉も使われている。
 
徳川家ゆかりの品々を並べた展示室のほか、収蔵庫、現在修復工事中の国宝陽明門を再現した立体映像作品を上映するシアターなどが備えられ、高精細CGアニメーション作品「徳川家康」も公開されている。
 
徳川家ゆかりの貴重な品々が一堂に会するだけでなく、最新のデジタル技術を活用し、老若男女を問わず楽しめる展示になっている点が印象的であった。

その中でも注目すべきなのが、
東京国立博物館から四十七年ぶりに里帰りした国宝の太刀助真、同じく国宝の太刀国宗、重要文化財の太刀吉房である。それぞれ名刀に違いないが、特に助真は「日光助真」と号され、有名である。家康公遺愛の一振で、加藤清正から献上されたことが「駿府御分物刀剣元帳」に記されている。
 
私は覇気に富む助真を目の前に、しばし時間を忘れ、見入ってしまった。
 
家康公の注文に応じて製作された黒漆塗打刀拵も付属していて、一見すると地味ではあるが家康公のこだわりが感じられ、まさに「いい仕事してますね.」と決めゼリフを言いたくなる見事な拵であった。
 
この助真が四十七年ぶりに家康公の眠る日光へ里帰りしたと思うと、感慨もひとしおである。
 
同館には、ほかに家康公が関ヶ原の戦で着用したとされる南蛮胴具足をはじめ、約三百八十年前の寛永の大造替に製作されたとされる神輿などが展示されている。
 
五月からは「二代将軍・秀忠公甲冑」特別展示会として、英国ロイヤル・アーマリーズ博物館に所蔵されている秀忠公所用の甲冑が展示されることになっている。これは、友好の証として、秀忠公よりイングランド国王ジェームス一世に贈られたものである。日英友好の歴史が詰まったこの企画展も、ぜひ見てみたい。
 
長い冬が終わり、最も快適なこの季節、徳川家康公ゆかりの地・日光へ出かけてみてはいかがでしょうか。
(瀬下昌彦)

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