鑑定書内容：文部省 重要美術品 Agency for Cultural Affairs Art treasures
- 銘文：石州出羽住直綱作
- Sign：Sekishu Dewajyu Naotsuna Saku
- 種別：拵付太刀 Tachi and Mounting
- 寸法：2尺2寸8分（69.1cm）反り1.5cm 元幅3.2cm 先幅2.3cm 元重0.7cm
- 時代：南北朝時代ー石見国（島根県）
- 価格：御売約 Sold Out
古来、正宗門と伝えられ、正宗十哲に数えられる石州直綱の重要美術品指定作品。直綱は同名数工が存在し、古伝書の多くは初代を建武、二代を永和、三代を応永としている。その作風は一様に少し黒みがある地鉄に杢を交えて地景が入り、刃文は頭がそろい角張った沸出来の互の目を主調として砂流しがかかるなど相州伝の影響が感じられる。石州直綱の太刀は有銘確実な現存品が極めて稀で、重要美術品では他に一振り、特別重要刀剣に一振りが指定されているが共に磨上げられており、生茎在銘で残るのは現状指定されている限り本作と佐野美術館所蔵刀のみが知られている大変貴重な作品である。本作は同作の他の現存品に比べ一段と地鉄が細やかにつみ、刃文も沸細かく、また同作は帽子から物打ちにかけて焼きが崩れ、沸が荒くなる傾向が見られるが、本作には見られず、金筋・砂流し細やかにかかりつつも帽子しっかりと返っており、総じて完成度が高い清廉なる傑作であり、身幅広く抜群に健全で、経眼した有銘作の中でも最高峰の作域を示したまさに名刀である。
