新刀

伯耆守平朝臣正幸 島津家伝来品
Houki no kami Ason Masayuki from Shimazu Family

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀剣[N.B.T.H.K] Juyo Token No.61

伯耆守平朝臣正幸 島津家伝来品  Houki no kami Ason Masayuki from Shimazu Family
  • No.A659
  • 銘文:伯耆守平朝臣正幸 文化四年卯二月七十五歳造
  • Sign:Houki no kamiAson Masayuki 75 years old A.D.1807
  • 種別:白鞘刀 Katana and Shirasaya
  • 寸法:2尺3寸7分(72.1cm)反り2.0cm 元幅3.2cm 先幅2.3cm 元重0.6cm
  • 時代:江戸時代後期ー薩摩国(鹿児島県)
  • 価格:御売約 Sold Out
  • 伝来:薩摩藩主公爵島津家伝来品
  • History:From Simazu Family

大和守元平とならび薩摩藩工の双璧を飾る、伯耆守正幸の作品。
伯耆守正幸は二代:伊地知正良の子で、享保18年に生まれ、三代目を継いで正良と名乗った。同国の大和守元平と並んで薩摩新々刀の第一人者であり、寛政元年、元平と時を同じくして「伯耆守」を受領し、「正良」の名を嫡男に譲り、自らは「正幸」と改めた。文政元年、86歳で没している。正幸の作品は身幅が広く、長寸で、重ねも厚く、鋒が延び、一般に頑丈な造込みのものが多く、刃文はのたれに互の目・尖りごころの刃を交え、匂深く、荒めの沸がつき、金筋・砂流しがかかるなど相州伝、就中、「志津」に倣った作柄を得意としている。
本作は、幅広・重ね厚の頑健な造込みに、平肉が殊によくつき、手持ちにズシリとくる誠に雄渾な姿を呈している。鍛えは小板目肌よくつみ、地沸厚くついて荒沸が交じり、地景を交え、白い鍛着線が少しく入る正幸の特色が表れ、刃文は互の目乱れに小のたれ・小互の目・尖り刃等が交じり、足入り、匂深く、沸が厚くつき、荒めの沸を交え、砂流しがかかり、金筋・沸筋がさかんに入って出入りのある変化を目立たせ、物打辺の焼きを総体に比してやや低めにおさえるなど、同工の見所が顕著に表れている。彼の狙いとする志津に倣った色彩が地刃に色濃く表わされているが、本作には混ぜがね状の地景や芋蔓状の金筋・沸筋などが表れていないため、常の作に比して格別に品位の高さを感じさせる。薩摩藩主島津家に伝来し、鶴丸城の御用意刀として収蔵されていた一口で、昭和三年に行われた公爵島津家蔵品入札において同家より売りに出された記録が残されており、同家が古来より所有した歴史的名品の数々が記載された同目録においても写真付きで紹介された同作中の逸品である。


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