刀剣に関する質問

刀剣の手入れ

刀剣の手入れ

日本刀は鉄製ですから、手入れが悪いと錆びます。錆がひどければ専門の研師のところへ研ぎに出さなければなりません。この時、決してご自分で研がないで下さい。日本刀保存の専門技術には、「研磨」「鞘」「白銀(しろがね)」「漆塗」などがあり、それぞれ高度な技術をもった専門職人がいます。その技術に支えられて日本刀は現在まで鑑賞するにたるものとして存在してきたのです。これらの人々に仕事を依頼することを「工作」と呼びます。専門技術をもたない素人が日本刀に「工作」を行ったら間違いなくその日本刀は破壊されます。私たちにできることは「手入れ」です。

専門職人の手で「工作」された刀剣は、「手入れ」しだいで長い年月「良い状態」を保つことができます。これが日本刀を大切に保存する決め手です。頻繁に「工作」依頼をしていたら、金銭的にも負担だし、日本刀の保存にとってもよいことではありません。次に手入れの順序を掲げます。

左に手入れ道具の写真を掲げました。木槌と角木を除けば刀剣店でセットで入手できます。最初に拭紙はよくもんで柔らかくし、紙すきのさい混入したようなゴミを取り除いておいて下さい。

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  1. 鞘を払い、柄を抜きます。
  2. 抜いた茎を左手で持ち、専用の拭紙(ぬぐいがみ=刀剣店で入手可)で棟方から古い油を拭い取ります。拭紙がなければ、フランネル布か、よくなめした鹿皮でも結構です。
  3. 次に打粉を刀身全体にまんべんなく打ち、2.とは別の専用の拭紙(2.とは別のフランネル、鹿皮)でその粉を拭う。これを二、三回繰り返して油のくもりを完全に取り去ります。
  4. 以上を終了した後、吉野紙か脱脂綿に丁子油をしみ込ませ、刀身全体にむらなく、薄く塗ります。同時に茎の手入れ、はばき下の手入れも行いますが、茎は乾いた綿布でしっかり拭うか、油を塗るなら極く少量にして下さい。「はばき下」は「はばき」を外して刀身と同様にします。これで手入れの完了です。
  5. あとは元通り柄、鞘におさめ刀袋に入れて、日陰で湿気のない場所で保存します。また、鉄類は、防虫剤(樟脳など)を嫌いますので、注意して下さい。こうした手入れは通常月に一度が適当ですが、研ぎ上がった刀は水気を含んでいますから、初めは一週間に一度、半月に一度、一ヶ月に一度と徐々に間隔をとっていきましょう。また梅雨時は錆がでやすいものですから、一週間に一度は必要でしょう。

鐔の手入れ

鐔は持つ人の手入れひとつでよくもなれば悪くもなります。鉄鐔(甲冑師、刀匠、無象嵌の鉄の地透し鐔など)は木綿の布で拭って手入れをするのが普通です。地鉄の荒れた鐔は、椿油、または丁子油をつけて、木綿の布で拭うか、さらに錆のひどいものはこれらの油につけてしばらくおきます。すると錆が浮いてきますから、鹿の角などで錆の部分をこすります。

金工鐔の手入れも基本的には鉄鐔と同じですが、銅や真鍮などは古色が剥げやすいので象嵌部分はさけて地鉄のみを柔らかいビロードの布で拭いて下さい。

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