東京両国の刀剣博物館にて展覧会「日本刀 多彩なる造形展」が開催されている。
流派や国、特定の作家を中心に開催されることが多い刀剣の展覧会としては異色のタイトルで、当店に来た出品依頼やチラシから奇抜な形の作品を集めた展覧会と認識していたが、実際に足を運ぶと長年親しんだ同博物であるが全く拝見した事のない作品群が多く、同館の懐の広さを改めて感じさせる優れた展示内容であった。写真撮影が可能とのことからいくつか気になった作品を写真付きで紹介させて頂きます。
まず最初は「日本刀誕生の歴史」と題して上古刀の一群が展示されているが、入ってすぐに目に入ってくるのが全長142センチにも及ぶ大仰な圭頭大刀である。
ここまで大仰な作は非常に珍しく、特別な身分にある人物の特注品かと思われる。
同館の石井彰学芸員によるとこれだけ見事な作品であるにも関わらず、展覧会に供されるのは初めてでは無いかというから驚きである。
他にも國學院大学博物館から直刀や毛抜形太刀が出品されているのも珍しい。
続いて「武士の台頭 鎌倉時代」では同館所蔵の名刀 国行(号明石国行)などが並ぶ。
「南北朝時代と磨上」では靖国神社遊就館より重要刀剣審査に提出され話題となった大太刀 銘 正家やなんと同館以外で初の展示となるという巨大な包丁正宗の姿が。
以降「槍」「大太刀」「薙刀」「刀装」「刀装具」と続くが、名品から経眼の記憶のない珍品まで多数展示されていた。撮影可となっていたが個人蔵の作品は避けいくつかを紹介。
尾張貫流槍術に用いられるという「管槍」は瞬発的に刺突の繰り返しが可能な様式とのこと。
「剣の造形」共柄の剣(末手掻)に名人は何を作らせても見事だと感心させられる直胤の剣
「槍の造形」より各種体型の槍「薙刀の造形」より 播州手柄山氏繁の特徴的な作品は拵付で展示されている。
他にも個人蔵の為写真の掲出は控えるが「変形造形」の非常に個性的な水心子正次の脇差などは特に素晴らしい造形と感じた。
ぜひ多くの方々に足を運んで観覧して頂きたい。
会期 | 2022年2月26日(土)~5月22日(日) |
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開館時間 | 9:30 ~ 17:00 (入館は16:30まで) |
休館日 | 毎週月曜日(祝日の場合開館、翌火曜日休館) |
主催 | 刀剣博物館 |