鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀剣[N.B.T.H.K]Juyo Token No.61

- NO.852
- 銘文:備前国長船住左近将監長光造 永仁元年十二月日
- Sign:Bizenkoku Osafune ju Sakonshogen Nagamitsu tsukuru A.D.1293
- 種別:拵付太刀 Tachi and Mounting
- 寸法:2尺9分(63.4cm)反り 2.0cm 元幅 2.5cm 先幅 1.4cm 元重 0.7cm
- 時代:鎌倉時代ー備前国(岡山県)
- 価格:¥33,000,000
鎌倉時代、日本刀史上最大の隆盛を誇った長船派2代目当主、長光の作品。
長光は長船派2代目を継いだ刀工で、初代光忠の子。優れた作品を数多く残し、名物「大般若」や「津田遠江」などをはじめ国宝6点、重要文化財28点などその多くが国の指定品になっている日本刀史上最高峰の名工である。その作風は大別して父、光忠風を継承した感のある豪壮な造り込みに、華やかな丁子主体の乱れを焼いたものと、身幅が尋常か細身の姿に直刃調で小足の入った穏和な出来口の二様が見られる。その作風の違いからか古来伝書によれば長光の初、二代をあげ、左近将監長光を二代とする説があるが、銘字の書体には差異がなく同人と見られ、現在では左近将監銘は長光の後期作とする見方が定説となっている。
本作は現存稀な左近将監を冠した13字長銘の長光太刀であり、かつ上記の説を補完する永仁の年紀が添えられた貴重な作品である。渡邊妙子著、「長光小論」に寄れば長光の在銘作150点中、最も多い二字銘の作が118口、左近将監(従六位は当時刀工として最高位)銘は僅か8口とされ、正応二年(1289)から嘉元二年(1304)の間に見られるのみという大変希少な物である。作風は前述の通り、元幅に比べて先幅狭まり、腰反りの強くついた優美な太刀姿に、地鉄、小板目肌が微塵によく詰んだ清涼な鍛えに乱れ映りが華やかに立ち、刃文は微細な小沸がつき頭の揃った匂出来の互の目を焼いている。長光の晩年期に於ける典型作であり、同作の作域の広さと技量の高さを示している。茎の先を僅かにつまむもほぼ生茎であり、常の作に比べてなお地鉄は澄んで美しく、良く締まった匂口は同作中でも特に状態の良い健全作にのみ見られる見所である。