刀剣

伯耆守平朝臣正幸 文化十三年子八月
Houki no kami Taira no ason Masayuki

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣[N.B.T.H.K]Tokubetsu Hozon Token

伯耆守平朝臣正幸 文化十三年子八月Houki no kami Taira no ason Masayuki
  • No.865
  • 銘文:伯耆守平朝臣正幸 文化十三年子八月
  • Sign:Houki no kami Taira no ason Masayuki A.D.1816
  • 種別:刀 Katana and Shirasaya
  • 寸法:2尺2寸4分半(68.2cm) 反り 1.7cm 元幅 3.3cm 先幅 2.4cm 元重 0.7cm
  • 時代:江戸時代ー薩摩国(鹿児島県)
  • 価格:¥3,300,000
  • 鞘書:本阿弥日洲、田野辺道宏
  • 大分県立歴史博物館「刀剣と武具展」出品作

大和守元平とならび薩摩藩工の双璧を飾る、伯耆守正幸の特別保存刀剣指定作品。
伯耆守正幸は二代:伊地知正良の子で、享保18年に生まれ、三代目を継いで正良と名乗った。同国の大和守元平と並んで薩摩新々刀の第一人者であり、寛政元年、元平と時を同じくして「伯耆守」を受領し、「正良」の名を嫡男に譲り、自らは「正幸」と改めた。文政元年、86歳で没している。正幸の作品は身幅が広く、長寸で、重ねも厚く、鋒が延び、一般に頑丈な造込みのものが多く、刃文はのたれに互の目・尖りごころの刃を交え、匂深く、荒めの沸がつき、金筋・砂流しがかかるなど相州伝、就中、「志津」に倣った作柄を得意としている。
本作は身幅広く、重ねが厚い体配に、鍛えは小板目肌よくつみ、地沸微塵に厚くついて荒沸が交じり、地景をよく交え、刃文はのたれ調に互の目乱れ、尖り刃等が交じり、足入り、匂深く、沸が厚くつき、荒沸を交え、金筋・砂流しがさかんに入るなど薩摩刀の特徴を顕示した優品である。特筆すべきは文化十三年(1816年)、84歳の作品であるが、田野辺道宏氏の鞘書によると同時期のに於いては弟子の隅州正景が協力して作刀していたのではないかと述べている。正景は正幸の高弟で池正光の長男で、隅州柁城(加治木)に住し、加治木島津家の抱え工として活躍した名工で、同作を西南の役で西郷軍で活躍した辺見十郎太が所持した事でも知られる名工であるが、同作が隅州柁城に於いて独立後も師の代銘を任される程に重用されていたという可能性を示す薩摩刀研究上の貴重な資料であり、大分県立歴史博物館「刀剣と武具展」に出品された同作中の優品である。

正幸、正景銘の変遷資料、重要刀剣図譜より転載

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