刀剣

短刀 志津
Tanto made by Shizu

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣[N.B.T.H.K]Tokubetsu Hozon Token

短刀 志津Tanto made by Shizu
  • No.867
  • 銘文:無銘(志津)
  • Maker:Mumei(Shizu)
  • 種別:短刀 Tanto and Shirasaya
  • 寸法:8寸1分(24.6cm) 反り 0.0cm 元幅 2.5cm  元重0.4cm
  • 時代:南北朝時代ー美濃国(岐阜県)
  • 価格:¥13,200,000

南北朝時代、美濃伝の開祖、兼氏に極められた作品。
本作は大磨上無銘の刀で、志津と鑑せられている。志津とは元来は美濃の地名であるが、この地に大和より正宗の門人兼氏が来住して鍛刀したことから、地名を取って志津三郎兼氏と呼称しており、兼氏の別称となっている。兼氏は正宗十哲と称される刀工の中では最も正宗に近似の作域を示していることで知られる名工である。
本作は無銘ながら身幅尋常で、重ねが薄く、ふくらのふっくらとした南北朝初期の体配を示し、刃文、総体に小沸出来ののたれ刃に、金筋砂流しをよく走らせ、二重、三重に輝く沸が煌めいて沸の叢消えを呈し、物打ちで大互の目、飛び焼きを焼いて先は地蔵帽子に返るなど古来刀剣書が同作の作風として示す典型的作風を顕示している。地鉄は小板目肌に細かな地景を良く交え、地沸厚くつき、潤いに満ちている様は健全な作ゆえの見どころである。現存する志津極めの作は多くが刀の極め物であり、短刀の同作極めは頗る貴重であるが、本作はその中でも在銘作に連なる兼氏の教科書的作風を示した大変貴重な作品である。藩政時代は貞宗とされていたものが近年の鑑定で志津に極められたもので、古来刀剣界には「古極めを弄るな」との格言が存在するが、総体にすこぶる上品に纏められた本作においてはむしろ本鑑定に筆者も同意である。日向正宗などの世に僅かに存在する名物短刀に比肩する優れた出来口と健全さを誇る優品である。

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