鑑定書内容:文部省 重要美術品 Agency for Cultural Affairs Art treasures
![重要美術品 出羽大掾藤原国路(切付銘) 嘉永元年戊申冬求之 為佩刀大泉藩士[金][井]允文Dewadaijo Fujiwara Kunimichi Owend by Kanai](https://iidakoendo.com/wp-content/uploads/2023/12/alls-5.gif)
- No.899
- 銘文:出羽大掾藤原国路 (切付銘) 嘉永元年戊申冬求之
為佩刀大泉藩士[金][井]允文 - Inscription:Dewa daijo Fujiwara Kunimichi
- 種別:刀 Katana
- 寸法:2尺3寸4分(70.6cm) 反り1.8cm 元幅 3.3cm 先幅 2.3cm 元重0.7cm
- 時代:江戸時代ー山城国(京都府)
- 価格:御売約 Sold Out
- 令和6年刀剣博物館 特別展「鏨の技巧 刀身彫刻の世界」出品作
- 重要美術品全集、今村押形、薫山日々抄 続、日本刀大鑑、寒山押形新刀辞典、寒山刀剣講座、古刀新刀名品集、新刀大鑑所載品
- 三矢宮松氏旧蔵
江戸時代前期、山城国の名門堀川一門の高弟、出羽大掾藤原国路の重要美術品認定作品。
出羽大掾国路は堀川国広門下の高足の一人で、「慶長十八年三月」以降、「同二十年三月」以前の間に出羽大掾を受領したものと思われる。同作には、のたれ込んで先の尖った、いわゆる三品風の帽子が多いことや、銘字に於いてその初期には一時期「国道」と道の字を用いていたこと、また晩年には「来」を冠しているものがあることなどから、三品家となんらかの関係があったものと推測される。彼の作刀に見る年紀で最も古いものは「慶長十三年」紀であり、降っては「慶安五年」紀で「七十七歳」と行年を添えたものがあり、さらに下限の年紀で「寛文二年」紀があって、承応以降のものを二代とする説も存在する。作風は備前伝以外は各伝を上手にこなしており、国広門下中随一の器用人であり、就中、相州伝が最も得意で志津や左文字などに私淑している。
本作は、身幅広く、切先伸びごころに刃肉の豊かについた豪壮な体配に、刃文、丁子に互の目・尖りごころの刃を焼き、かつ刃中の足、葉、金筋・砂流しなどの働きが常にも増して華やかに入っている。表に真の倶利伽羅と棒樋、裏に梵字二つに蓮台、二筋樋の彫物があるが、4点存在する同作の重要美術品認定作中、濃厚な彫物の添えられた作は唯一本作のみである。切り付け銘にあるように、嘉永元年に庄内藩(後に大泉藩と改称)酒井忠発の側近、金井男四郎(允文)の求めるところとなった。古来国路の代表作と高い評価を得ていた本作は後に東武鉄道を経営する根津財閥の総帥、二代根津嘉一郎(藤太郎)の所管となり、昭和十七年に国の重要美術品に認定されている。