刀装具

信家 山水人物に竹図鐔
Nobuie Tsuba design of bamboo

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀装具[N.B.T.H.K]Tokubetsu Hozon Tousougu

信家 山水人物に竹図鐔 Nobuie Tsuba  design of bamboo
  • NO.B247
  • 作者 : 信家
  • Maker : Nobuie
  • 桃山時代-尾張国(愛知県)
  • 法量 縦:76.3mm 横:72.2mm 厚:4.6mm
  • 価格:¥2,750,000

室町時代末期、金家と並び、鉄鐔の双璧と謳われる信家の特別保存刀装具指定作品。
信家鐔の鐔工「信家」には初代と二代があり、初代は織田信長に仕えて、尾張国清州城下で鐔制作に励んだと云われている。信家は京都伏見の金家とともに鉄鐔の双璧を成し、ともに鐔を工芸品から芸術品にまで高めた名人である。絵風鐔を創始した金家に対し、信家は概ね厚手で量感に溢れ、鍛えが無類によく、各種図柄や神号、剣の極意や武士の思想などを毛彫で表した作品が残されている。拵の種別を問わず据えられた作品の品格を一格も二格も向上させてくれる同作はまさに鐔の王者というに相応しく、古来多くの武将や偉人達に好まれ名作の拵に用いられてきた。銘の字体から「放れ銘」「太字銘」の二種類に大別され、太字銘信家は放れ銘信家と親子、あるいは兄弟の関係と考えられている。本作は「太字銘」の信家で「信家の木瓜形」とも言われる代表的な形である得意の木瓜形に耳を打ち返し、鍛えの良い鉄地に鋤出彫で山水画を描き出している。形、手法は信家の典型作であるが、全面に描かれた雄大な自然と左辺手前の山頂に極小さく描かれた人物の対比は明らかに中国山水画をモチーフにしたものと思われ、管見の限りでは他に例を見ない。禅の思想とともに日本に伝えられた山水画は室町時代から戦国時代にかけて隆盛し、雪舟などの活躍をみるが、普段とは異なりむしろ鉄鐔の双璧と謳われた金家風ともいえる絵風な画題をも自らの作品に落とし込んだ信家の技量も流石であれば、本図案を信家に依頼した注文主の趣向もまた見事であり、蓋し名鐔と思われる。



 



Return Top