鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀装具[N.B.T.H.K]Tokubetsu Hozon Tousougu

- NO.B248
- 作者 : 信家
- Maker : Nobuie
- 桃山時代-尾張国(愛知県)
- 法量 縦:87mm 横:82mm 厚:5.8mm
- 価格:¥3,850,000
室町時代末期、金家と並び、鉄鐔の双璧と謳われる信家の特別保存刀装具指定作品。
信家は織田信長に仕えて、尾張国清州城下で鐔制作に励んだと云われている。信家は京都伏見の金家とともに鉄鐔の双璧を成し、ともに鐔を工芸品から芸術品にまで高めた名人である。絵風鐔を創始した金家に対し、信家は概ね厚手で量感に溢れ、鍛えが無類によく、各種図柄や神号、剣の極意や武士の思想などを毛彫で表した作品が残されている。拵の種別を問わず据えられた作品の品格を一格も二格も向上させてくれる同作はまさに鐔の王者というに相応しく、古来多くの武将や偉人達に好まれ名作の拵に用いられてきた。銘の字体から「放れ銘」「太字銘」の二種類に大別され、太字銘信家は放れ銘信家と親子、あるいは兄弟の関係と考えられている。本作は「太字銘」の信家で障泥形に施された槌目が表面に力強い動きを与え、対比するかのように毛彫で繊細に亀甲紋も描かれている。この2つの技法の組み合わせが視覚的な美しさだけでなく、感触や光の反射の面でも深みを生み出し、全体として調和の取れた作品になっている。加えてここまで大ぶりな作品は同作中でも非常に稀であり、かつ状態が健全で、無櫃で伝えられていることも好ましい。