鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀装具[N.B.T.H.K]Juyo Tosougu No.66

- No.:B251
- 作者 : 荒木東明
- 銘文 : 一斎東明(花押)
- Inscription :Araki Toumei sign : Issai Toumei (seal)
- 江戸時代後期 19th Century
- 価格 : 御売約 Sold Out
幕末に一世を風靡した荒木東明、粟穂図の重要刀装具指定作品。
荒木東明は、文化十四年に京都で生まれ、十三歳の時、後藤東乗に支持し「東」の一字を許され東明と名乗り、後に後藤一乗の門に学び「一斎」の工名を許されて一斎東明、のちに吟と銘している。
京都四条派の画家で岡本豊彦門人の林蘭雅(1821~69)について下絵を学び、得意とした粟穂の意匠は長年ともに研究したすえに考案したものといわれている。五穀のひとつとして古くから重要な作物であった粟は、多くの実をつけて穂を垂れるさまから、豊穣や子孫繁栄を象徴するといわれ中国では宋代以降、鶉とともに描かれることが多く、室町から江戸時代にかけての日本でも親しまれた画題。この栗穂をもって当時から著名であったという。
本作は、縁頭・目貫・栗形にそれぞれ東明得意の粟穂をあしらった揃金具である。縁頭と栗形は鉄の磨地を背景に、金据紋象嵌色絵で粟穂を配し、一粒一粒が大きく堂々としているには一斎銘を用いた時期の特徴である。目貫は非常に大振りで隆々とした作域を示し、豪壮な金無垢を容彫にして、籠に溢れんばかりの粟穂は緻密な表現も相俟って見事である。茎や葉にまで微細な鏨が効いており、まさに「粟穂の東明」ここに有りとでも言うべき優品である。