鑑定書内容: 財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀装具
[N.B.T.H.K] Tokubetsu Hozon Tousougu

- NO.B250
- 作者 : 信家
- Maker : Nobuie
- 桃山時代-尾張国(愛知県)
- 法量 縦:85.5mm 横:78.3mm 厚:5mm
- 価格:¥4,400,000
桃山時代に金家と並び、鉄鐔の双璧と謳われる信家の特別保存刀装具指定作品。
信家は織田信長に仕えて、尾張国清州城下で鐔制作に励んだと云われている。信家は京都伏見の金家とともに鉄鐔の双璧を成し、ともに鐔を工芸品から芸術品にまで高めた名人である。絵風鐔を創始した金家に対し、信家は概ね厚手で量感に溢れ、鍛えが無類によく、各種図柄や神号、剣の極意や武士の思想などを毛彫で表した作品が残されている。拵の種別を問わず据えられた作品の品格を一格も二格も向上させてくれる同作はまさに鐔の王者というに相応しく、古来多くの武将や偉人達に好まれ名作の拵に用いられてきた。銘の字体から「放れ銘」「太字銘」の二種類に大別され、太字銘信家は放れ銘信家と親子、あるいは兄弟の関係と考えられている。本作は「放れ銘」の信家で木瓜型に鍛えの良い鉄地、表は大胆に龍の図が描かれているのに対し、裏は華麗に菊と桐の紋様が描かれている。雲龍図は、龍が天に昇る姿や、雲の中で舞う姿を描くことで天と地を結ぶ存在の象徴として、また水の神ともされ、豊作や繁栄をもたらす存在としても崇められている。85mmと同作中でも大きく、木瓜形に力強い耳の打ち返し、隆起した鉄骨、松葉の打ち込みなど、信家の特徴といわれる物を全て顕示した同作中の傑作である。