鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀装具[N.B.T.H.K] Juyo Tousougu No.66

- NO.B254
- 銘文:後藤光晃(花押)
- Inscription:Goto Mitsuaki(seal)
- 時代:江戸時代後期
- 価格:¥5,500,000
十六代後藤光晃(方乗)は、文化十三年に先代光美の五男として生まれ、若銘を光年と名乗った。兄たちの早世により十九歳で家督を相続して光晃と改名し、法号を方乗という。光晃の作品は精巧で優美と着実を兼ね備えた刀法であり、宗家としての品位を保持している。赤銅魚子地に高彫色絵の家彫式の作と絵風式の毛彫や片切彫が見られる。本作は、細微な赤銅魚子の中に長老福寿老と鶴と牛の高彫色絵が実に繊細に表現されている。長老福寿老とは七福神の一柱で幸福(福)、財運(禄)、長寿(寿)の三つの徳を象徴する神様。その姿は、長い頭と白い髭を持つ老人として描かれ、杖に巻物を結びつけ、鶴を伴うことが多い。頭に表現された翼を広げた鶴の姿は実に優雅で、構図としても美しい。縁に描かれた長老福寿老は、牛に体を寄せ休んでいる様子が面白い。鐔の裏には、長老福寿老が持つ杖と巻物がしっかり彫られており、確かな技と共に、幕末らしい整った意匠が心を惹きつける優品である。