鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀装具 [N.B.T.H.K] Tokubetsu Hozon Tousougu

- NO.B266
- 銘:翁鑢文鐔 無銘 彦三
- 江戸時代初期
- 法量:縦:78.6mm 横:77.7mm 厚:5 mm
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- 肥後金工大鑑所載 172番 米野健一氏旧蔵品 第三回熊本の金工 所載 54番
肥後の平田家に生まれ、桃山時代に肥後金工の中でも異彩を放つ上手であった彦三の特別保存刀装具指定作品。旧姓を松本氏といい、江戸時代初頭に肥後(熊本県)で栄えた肥後金工の名工。細川忠興に従って京都から移住したと伝えられる。その門下からは志水甚五(甥)、西垣勘四郎が輩出し、尾張系の林又七と共に肥後金工の四大流派を形成した。技術的には古正阿弥の伝統を多く継承し、素材には鉄地もあるが、山銅、真鍮、赤銅などの色金が多く、象嵌はもとより阿弥陀鑢や翁鑢を施すなどして細川三歳の求めた雅趣溢れる世界観を最も深く体現した作家である。本作は素銅地に漆をかけて翁鑢を施し、耳には真鍮製の小田原覆輪をかけるなど、同作の色鉄における典型的作風を示した格調高い優品である。洗練された中に洒脱さを併せ持った『侘び寂び』の精神を体現した本作は古来有名で、肥後金工大鑑など多くの名著にて紹介されており、名鐔多数所蔵していた米野健一氏の旧蔵品で、同家の仕覆が付帯している。