鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀装具[N.B.T.H.K]Juyo Tousougu No.62

- NO.B271
- 銘:無銘 甚五
- 法量:縦:74mm 横:72mm 厚:4mm
- 価格:御売約 Sold Out
- 肥後金工大鑑、刀装小道具講座、肥後の金工、所載品
- 米野健一氏旧蔵品
肥後金工を代表する本流は、林・平田・西・志水の四家であり、皆初代は細川三斎忠興に抱えられ、指導を受けた。寛永九年、加藤家改易の後に、子忠利が熊本五十四万石に封ぜられると、三斎は同国の八代に移り、八代城を隠居城とした。甚五は平田彦三の甥と伝え、この時彦三と共に三斎に従い八代に移っている。甚五の作風は肥後金工中、最も強烈な個性を発揮し、槌目焼手仕立ての鉄地に、表は猛禽・鶏・ふくろうなどを大きく真鍮据紋象嵌で力強く表し、裏は空間を大きくとって文様を小さく配し、彩色や肉置きも穏やかにして表裏のバランスをとり、侘寂の趣を深くするよう配慮している。この鐔は、泥障形の鉄槌目地に八方に身をくねらす蛸を真鍮据紋象嵌とし、裏は空間を大きくとって表から繋がる蛸の足を配している。表裏にわたる大胆な構図を取り、斬新で追力に満ちた出来口を示しており、同種の作品群の中でも特に優れた作であり、嘗て肥後刀装具の優品を数多く所蔵した米野健一氏の仕覆が付帯して伝来している。









