刀剣界ニュース

日本刀を介した日英の交流 エディ・登志・ワーサイム (英国在住)

二〇一三年は、日本と英国の歴史において記念の年である。
 まず、慶長十八年(一六一三)に徳川家康率いる江戸幕府とジェームス一世統治下の英国政府が貿易開始に合意してから四百年がたち、英国内では「ジ
ャパン四〇〇」と称して、日本への航海や、英国王室と日本側が贈り物を交換したエピソードなど、日英交流がスタートした様子を伝えるさまざまなイベントが開かれている。また今年は、近年映画化された長州ファイブ、すなわち文久三年(一八六三)に長州藩の五名の若者が極秘留学のために渡欧してから百五十年に当たる。
 私自身も一九七七年創業の日本古美術店の経営者として、この記念すべき年に日本大使館やジャパン・ソサエティー(日本協会)とともにいろんな形で貢献させていただいている。日本の文化・歴史を伝えるイベントに積極的に参加し、日本の古美術品を通して、日本人の芸術性の高さ、繊細さ、心を伝えられるよう努めてきた。
 その鍵となる古美術品の一つが、日本刀である。
 当初、日本刀の交易は非常に厳しく、二〇〇七年英国政府の方針として長さ五〇以上の日本刀はいかなるものでも武器と見なし、輸出入不可の方針を採
っていた。その後、当局と私たち日本刀関係者との度重なる討論の末、正統な日本刀は美術品として見なされるべきだという合意に至り、〇八年四月六日の法改正で、一九五四年以前に製作されたもの、または古来の教えに沿った材料(玉鋼など)、また方法で製作されたものに限り交易可となった。
 ただ、現在でも偽造された安価な日本刀が市場に出回っているため、依然として輸送の際の審査などは厳しく、問題が起こることは決して少なくない。私自身、その問題に対処するために奔走することもあり、これからも日本刀に携わる方々が少しでも容易に国内外で交流できるようにするための努力は惜しまないつもりである。
 日英間において、文化交流が末永く続き、相互に繁栄していくことを心から願っています。

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