刀剣界ニュース

「大刀剣市」売上向上のためのワンポイント

昨年の「大刀剣市」には、三日間で延べ三千人のお客さまが国内はもとより、アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・東南アジア・オーストラリアなど世界中から、ご自分の探している刀剣および刀装具を求めておいでいただきました。 

美術品を商うには最高の場所である東京美術倶楽部の同じ屋根の下で、七十四店舗が出店し、三日間という短期決戦の中でいかにして自社の商品をアピールし、お買い求めいただくかが、勝負の分かれ目であります。
 
過日行われた反省会の席上、ぜひとも役に立つ「ワンポイント」を聞かせてほしいという声が多くありました。そこで組合として出店者各位に、秘訣とも言うべきワンポイントをお願いしたところ、多くの方々から数多くのアドバイスが集まりました。
 
最初に匿名希望の寄稿のものをテーマ(要素)別にご紹介し、後半では署名でのご意見を紹介させていただきます。

一、展示に関して
昔は一つの刀掛けに三振、しかも所狭しと思えるほど展示して大失敗した。今は数を減らし、すっきりとした展示に切り替えている。ゆっくりと見てもらっているようだ。

どんな名品を展示しても、目立たないところでは気づいてもらえない。自分の店で一番自信のある商品は、一番目立つど真ん中に展示することを心がけている。

小道具類はばらばらに展示するのでなく、肥後鐔は肥後鐔、赤坂鐔は赤坂鐔と整理して展示している。また毎年、必ず離れ縁や小刀を専門に買いに見えるお客さまがいる。そのような特別なお客さまに対しては、商品を展示することなく、お取り置きをしておくと大変喜ばれ、必ず何点かお付き合いしていただいている。

ブースが狭いので、多く展示できません。展示できない商品は、一覧表を作って配っております。興味のある方は大刀剣市後でも電話があり、商談成立したことが何度もあります。

名品は飾りません。他の店にたくさん展示されているので、うちでは五十万円以下の商品で勝負しています。気軽に手に取って見てもらえるよう心がけています。

外国では必ず「アンダーテーブル商品」と言って、展示していない商品を用意してあります。展示していない商品を特別に見たがるお客はどこにもいます。大切なお客さまにご覧に入れると、喜ばれます。

プライスカードで昔、単位を万円で表示し失敗しました。外国人にはわかりませんので、今では¥マークで表示しています。また、最近は外国人が大勢来ているので、同時に$表示もしています。

今回、現代刀や綾杉肌の刀が売れたとか、甲冑類が人気があったとか、鐔類は肥後物が人気があった等々の話題があっても、次回同様な商品が売れるとは限らない。これは、今年の農作物で白菜に高値がついたから来年は云々の話ともよく似ている。売れ筋商品の情報を上手に把握して、周到な準備をすることも必要だ。

大刀剣市開催期間中、必ず他店舗の展示方法などを見に行くことにしている。参考になることがたくさんある。

商品とプライスカードがはっきりわかることが肝要である。

大刀剣市に展示する商品は、間近になってからそろえるのは難しい。数カ月前から準備するよう心がけている。

二、図録に関して
必ず追加ページを依頼して四五ページ確保している。なぜなら、掲載した商品は大刀剣市後でも問い合わせがあるのでありがたい。ただし、掲載品はかなり吟味して選ばなくてはならない。図録に掲載したからといって、必ず売れるものでもない。問い合わせゼロのときもあった。かといって、一度に多くの問い合わせのある商品もある。掲載商品の決定には十分時間をかけ、準備する必要がある。

三、独自のPR活動について
過去、大刀剣市でお買い上げいただいたお客さまには、図録かハガキを必ずお送りしている。特に図録をお送りしたお客さまの大半は挨拶に来てくださる。毎年の積み重ねが重要なことだ。お歳暮代わりと思えば、図録代など安いものだ。

大刀剣市に出品する商品の一部を一覧表にして、お客さまに発送している。

インターネットの力には想像以上のものがある。図録掲載品はもちろんのこと、他の商品もホームページでPRしている。

四、接客などに関して

大刀剣市では一度に大勢の方が押し寄せることがあります。このような場合、二人ではとても対応できません。ですから、私の店では知り合いの方に頼んで四人でがんばっています。

外国人相手に値段の交渉、カードでの支払い、商品の発送等々、言葉が通じないと不便なことが多いです。私の店では、英語の話せる知人に応援してもらっています。
〈刀剣佐藤・佐藤均〉

購入者のペルソナ(仮想の顧客)を想定し、出品・展示品のターゲットを絞る。展示スペースが限られているので、事前に厳選する。

できるだけ整然ときれいに展示。清潔感を醸し出す。特にクロスのシワシワはNG、良い品には見えない。ショーケースのガラスは再度きれいに磨く。

実は購入者はネットの普及で、価格にはより詳しくなっており、実勢価格から大きく逸脱した価格設定では売れない。

弊社が例年良い成績なのは、プライス表示にこだわっている点だと思います。番号制にして、来場者が見たい商品を番号で指示していただき、利便性を高めています。常に「お客さまの視点」で考えているところです。

図録掲載品は特に絞り込みが必要と思います。当店イチオシ!の商品にする。

弊社売上に占めるインターネット関連の割合は七〇%以上を占めており、事前の告知には最大の効果のあるインフラ・ツールと考えています。DMおよび各社独自の紙媒体でのお得意さまへのご案内なども売上向上につながります。(ネット告知は現在一ページ一万円となっていますが、少なくとも図録掲載一.五ページ分は無料にされたらいかがでしょう。それはネットの不得意な参加者への気配りだと思います)

お客さまは決して見た目で勝手に判断しないことです。お金持ちほど質素な格好で来られるケースが多く、どなたさまにも公平に、しかもできるだけ丁寧な言葉遣いを心がけています。大刀剣市は今やよりオフィシャルな存在となっており、遠路世界中から来られているわけですから、「日本人の精神世界」を商いとするわれわれ刀剣商は、オモテナシの心で接するよう努力しましょう。

全国刀剣商業協同組合でフェイスブックを発信してみてはいかがでしょう。連絡ツールとしても有効ですし、商品の紹介も可能となります。スマホの普及で有効な手段と考えます。〈古美術やしま・齋藤久〉出品内容・展示方法・プライスとその表示については、常に努力したいと思いますが、なかなか思うようには行かないものです。品物が一点限りのものでなければ、本当にいいのですが…。
催しに参加できますことをありがたく思っています。

〈勝武堂・大平岳子〉

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