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東京国立博物館 上野のトーハクは名刀の宝庫 5

東京国立博物館は上野の森の一角にある。JR上野駅から徒歩で七、八分、循環バスで公園口より二、三分、鶯谷駅からは徒歩で五、六分のところにある。
 
約三万六千坪の広大な敷地の中、中央に本館、右手に東洋館、左奥に平成館などが立ち並んでいる。
 
正門から二百メートルほどのところに城のような、要塞のような趣でドンとそびえる建物が本館である。今から七十七年前の昭和十三年に東京帝室博物館復興本館として開館した。この中に日本の美術工芸のあらゆる分野を網羅し、しかも最高のレベルを誇る品々が展示・保管されている。
 
日本刀の展示室は、一階正面を右に向かい、突き当たりを左に曲がった奥の五十坪ほどのスペースである。大きなおのおののケースの中に、十二振の名刀がゆったりと展示されている。鐔や目貫、三所物などは二ケースに収まっている。展示品はどれを取っても超一級品ばかりだ。
 
名物三日月宗近、名物観世正宗、金象嵌銘の城和泉守所持正宗、名物亀甲貞宗、小竜景光、大般若長光、名物大包平、名物童子切安綱等々、愛刀家にとっては一度は拝見したい名刀ぞろいだ。
 
日本刀は国内に約二百三十万振現存するが、国宝に指定されているものは百二十点しかない。そのうち、ここ東京国立博物館には国宝の所蔵品が十七点、社寺寄託品が六点あるから、刀剣の全国宝の四分の一があることになる。重要文化財の指定品四十振前後を加えると、まさに日本刀の宝庫である。
 
一度と言わず何度でも足を運び、見学してほしい。
 
東京国立博物館には、日本人はもとより、世界中から美術愛好家たちが一日に何千人も訪れている。しかし、はっきりした目的を持って来られる方は少なく、観客の流れとともに見て回る方が大半である。ぜひとも名刀に近づき、正面からじっくりと鑑賞してほしい。かつては展示室が少々暗く、細部が見えにくかったが、今は大型のスポットライトが付けられ、改善されている。地鉄や刃文、帽子なども観察できる。
 
名刀を真剣に鑑賞すると、非常に疲れる。幸い、ここには壁側にソファが置いてある。一休みして、また鑑賞するとよい。
 
二階の武器・武具類の展示室も見学してほしい。ここには甲冑類や拵などが展示されている。
 
展示替えは三カ月に一度行われている。詳しくはホームページで確認の上、楽しんできていただきたい。
(冥賀吉也)

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