古刀

備前国長船住長光 正安三年十二月日
Bizenkoku Osafune jeu Nagamitsu A.D.1301

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀剣[N.B.T.H.K]Juyo Token No.54

備前国長船住長光 正安三年十二月日Bizenkoku Osafune jeu Nagamitsu A.D.1301
  • NO.686
  • 銘文:備前国長船住長光 正安三年十二月日 
  • Sign:Bizenkoku Osafune ju A.D.1301
  • 種別:白鞘太刀 Tachi andShirasaya
  • 寸法:2尺2寸9分半(69.7cm)反り 1.9cm 元幅 2.7cm 先幅 1.4cm 元重0.8cm
  • 時代:鎌倉時代ー備前国(岡山県)
  • 伝来:徳川将軍家旧蔵、付、同家御家鞘、御腰元台帳所載品
  • 価格:御売約 Sold Out

鎌倉時代、日本刀史上最大の隆盛を誇った長船派2代目当主、長光の作品。
長光は長船派2代目を継いだ刀工で、初代光忠の子。優れた作品を数多く残し、名物「大般若」や「津田遠江」などをはじめ国宝6点、重要文化財28点などその多くが国の指定品になっている日本刀史上最高峰の名工である。
本作は徳川将軍家伝来の品で、当時の御家鞘が今も残されており、貞享四年十月二十九日に同家に入り、格付は代金五十枚、同家の蔵番二百八十五番と記されている。同家の刀剣類を詳細に記録している同家の御腰元元帳第五巻の同項には「貞享四年十月廿九日 銘有 二百八十五 一 備前国長光御刀 長 弐尺弐寸九分半 代金五枚 代上□□ (以下不明)」との記載がまさに残されており、同家所蔵後に格付けが上げられて現在の鞘書による五十枚に代上げされたものとみられる。同作としては非常に希少な長銘年紀入りの太刀で刀剣保存協会によると真近の代銘作であるとされている。備前長船派では弟子が頭領に変わって銘を切ったと認められる作品が多数存在し、自身作がままみられる刀匠に近景や真長が、自身作が希少でほとんどを代作に任じていたと思われている作家として長元などが挙げられるが、真近は後者に類する作家とみられ、極僅かでは有るが自身銘で永仁三年紀(本作制作の6年前)が添えられた作品が残されていることからその存在と制作時期が確認できる。比較資料として重要刀剣図譜と図録「備前刀 長船鍛冶の巨匠 長光展 佐野美術館」より転載の写真を載せさせて頂いたが、確かに独特の丸みを帯びた銘振りや特徴的な「国」の字などに共通点が確認できる。
僅かに磨上げられながらもなお反り高く優美な姿を残し、刃文、中直刃を基調に小丁子を交えて匂口強く締まり、小板目肌微細によくつみ、乱れ写りが鮮やかに立った地鉄は頭領作に見られる潤いが溢れており、格調高く美しい。8mmもの重ねが残された健全なる優品であり、かつ同作の研究上資料的価値もすこぶる高い貴重なる伝来品である。

 

 


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