鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀装具 [N.B.T.H.K] Juyo Tosogu No.49

- NO.B256
- 銘:後藤光守
- Inscription:Goto Keijo Mitsumori
- 時代:江戸時代中期 (18th Century)
- 価格:¥6,600,000
後藤家十四代光守(桂乗)在銘五所物の重要刀装具指定品。
後藤家は室町後期から幕末に至る装剣金工家の家系で、後藤祐乗を祖とし、足利将軍家以来、織田、豊臣、徳川の各将軍家に仕えて刀装具の制作、並びに貨幣の鋳造、墨判を勤めて17代に渡って繁栄した。代々将軍家の御用を勤めたところから、その作を「家彫」と称賛され、作品は鐔の製作は少なく、小柄、笄、目貫などを主として、いずれも用いる素材は赤銅、金、銀で、原則的に鉄は使用しなかった。
本作の作者、十四代光守(桂乗)は十二代光理の三男で、寛保元年(1741年)生まれ。兄十三代光孝に後継者がなかった為、兄の養子となり宗家十四代目を継承した。本作は後藤光守在銘の五所物である。上記のごとく鐔の制作が稀な後藤家において鐔、縁頭を完備した揃金具となっている事は誠に貴重であり、加えて光守は宗家歴代の中でも若年の頃から装剣具を制作し、また長生きしたにもかかわらず、自身銘の作品が極めて少ない事で知られており、殊更同作の揃金具というのは管見の限りでは本作ただ一つという極めて貴重な作品である。縁起の良い宝尽の図を敢えて漆黒に染まった赤銅一色で仕立てるところに将軍家お抱えたる後藤家の格式の高さが伺えて好ましい。