古刀

依真 福岡一文字
Yorizane Fukuoka Ichimonji

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀剣[N.B.T.H.K] Juyo Token No.65

依真 福岡一文字Yorizane Fukuoka Ichimonji
  • No.A793
  • 銘文:依真(福岡一文字)
  • Sign:Yorizane(Fukuoka Ichimonji)
  • 種別:太刀
  • 寸法:2尺3寸4分(71.3cm) 反り 2.5cm 元幅 3.0cm 先幅 2.1cm 元重 0.6cm
  • 時代:鎌倉時代ー備前国(岡山県)
  • 価格:御売約 Sold Out

鎌倉時代に備前国(岡山県)で活躍した福岡一文字派依真の重要刀剣指定作品。
依真は銘鑑によれば、寛元(1243年〜)頃と弘安(1278年〜)頃に2名を挙げており、重要刀剣の指定では鎌倉時代中期、福岡一文字の作と鑑定されている。依真の作品は頗る希少で、管見の限りでは本作のみであり、重要文化財に一点が指定されているが、それも無銘の極めである。
本作は身幅広く、重ね厚く、腰反りが高く中鋒に結んだ鎌倉時代中期の雄渾な体配を示し、地には乱れ写りが華やかに立ち、刃文、匂出来の丁子乱れを焼き、刃取に高低がある重花丁子にとりわけ先の大きな蛙子丁子や飛び焼を交えるなど、一見すると長船派、光忠の傑作を思わせる闊達な出来栄えを示している。
上記の如く同作の在銘品は頗る少ないが、「往昔抄」、「薫山日々抄」にそれぞれ茎図と小太刀一点の押形が記載されており、銘は共に刀銘で、刃文は一文字にみまごう華やかな丁子乱れである。薫山氏曰く、「鑢と銘振からは古青江、刃文には一文字風、古来依真を古青江といい、あるいは福岡一文字、片山とも言って諸説ある原因がこの一作により肯定される。年代は鎌倉時代中期終わり頃では・・・。」と紀州徳川家伝来品を用いて書き残し、なお良く検討したいとあるがついに他の類品は現れなかった様である。
近年の研究では川一つ隔てて存在した備前、備中の刀鍛冶には定石に反して太刀銘に切る青江の刀工群や、逆に刀銘に切る備前鍛冶、または備中に移住した備前鍛冶の存在なども明らかになっており、そも室町時代の奥書がある「往昔抄」に於いては、依真は備前物に挙げられていることから、令和に於いて依真はまた備前鍛冶扱いに戻ったということになる。
未だ研究の余地が大である依真の在銘作として貴重な作品であるが、覇気に溢れる本作を鑑賞していると居住地の線引きなど些末な問題と思え、同国辺りに華やかな重花丁子の作品を得意とし、光忠にも匹敵する個性的な作品を残した名工が存在したことを顕示する本作の迫力にただ感嘆の息を吐くのみである。

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