古刀

備前国住長船与三左衛門尉祐定作
袈裟落 黒田筑前守殿御所持 中川左平太
Bizen koku jyu Osafune Yosouzaemon no jyo Sukesada Saku owned by Kuroda Kanbe cutting test by Nakagawa Saheita

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣[N.B.T.H.K]Tokubetsu Hozon Token

備前国住長船与三左衛門尉祐定作袈裟落 黒田筑前守殿御所持 中川左平太Bizen koku jyu Osafune Yosouzaemon no jyo Sukesada Saku owned by Kuroda Kanbe cutting test by Nakagawa Saheita
  • No.A796
  • 銘文:備前国住長船与三左衛門尉祐定作 (金象嵌)袈裟落 黒田筑前守殿御所持 中川左平太
  • Sign:Bizen koku jyu Osafune Yosouzaemon no jyo Sukesada Saku owned by Kuroda Chikuzen no kami cutting test by Nakagawa Saheita
  • 種別:脇差 Wakizashi
  • 寸法:1尺9寸8分(59.9cm)反り1.9cm 元幅 3.0cm 先幅 2.3cm 元重0.5cm
  • 時代:室町時代後期ー備前国(岡山県)
  • 価格:御売約 Sold Out
  • 伝来 : 黒田長政所用、光村利藻旧蔵(龍獅堂コレクション)、根津家旧蔵品

室町時代後期、数多存在する末備前刀工中、最高峰に君臨する与三左衛門尉祐定の特別保存刀剣指定作品。
長船祐定は勝光・清光らと並び「末備前」と呼称される室町時代後期の備前鍛冶を代表する名工であり、末備前中、同じ祐定の銘を名乗る刀工は数多いが、中でも与三左衛門尉の俗名を冠する祐定が末備前中、技量、知名度共に最上工として知られて高名である。
本作は与三左衛門尉祐定の作品に中川左平太が金象嵌截斷銘と所持者銘を入れた作品で、寸がつまり、先反りがつき、鎬地を削ぎ落とした室町後期、末備前の実践的な体配を示し、地鉄、小板目肌がよくつみ、細かな地景が良く入って清涼で潤い、刃文、匂口の明るい大模様な乱れ刃を棟まで焼いた華やかな皆焼刃となっている。藩政時代は筑前国福岡藩初代藩主、黒田筑前守長政の所有であったことを中川左平太重良が切断銘と共に金象嵌にて残している。中川左平太は幕臣・将監重清の子で、大坂冬の陣・夏の陣に参戦し、寛永8年3月に家督を相続し承応2年3月16日没している。試剣術の開祖とされる豊臣秀吉や徳川家康に仕えた武将:谷出羽守衛友の高弟で、江戸初期の数少ない試刀家として知られ、谷流といわれる。門人には山野加右衛門永久がおり、山野勘十郎久英、山田浅右衛門貞武とその技術は受け継がれていく。截断銘のなかには本作の黒田筑前守の他に越前宰相忠昌、鍋島紀伊守、本多豊前守、水野勝貞などの依頼者名を金象嵌したものなどが残されている。明治の世に日本最大のコレクターとして君臨した光村利藻氏の「龍獅堂コレクション」に加えられ、のちに根津嘉一郎の所有となった名品で、同作中の傑作である。




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