第二十五回大刀剣市は、十月二十六日から二十八日までの三日間、東京新橋の東京美術倶楽部で開催されました。
東日本大震災が発生し、全国民が大きな国難に向かう中で行れた昨年の第二十四回に引き続き、本年度も震災復興、厳しい経済状況、円高、近隣諸国との摩擦、政治不信などの難題が山積する中での開催となりましたが、組合員総数百九十四名のうち七十三名が出店しました。
日本国内はもとより海外からも多くのお客さまが見えられ、三日間の有料入場者は二千九百九十六人に上り、会場は連日、お気に入りの逸品を探そうという皆さまで賑わいました。今日の厳しい時世下にあっても、会場を埋め尽くすほどのお客さまにご来場いただきましたことは、感謝に絶えません。
全国刀剣商業協同組合の大刀剣市は、今や世界最大の刀剣・武具イベントとして、広く認知されております。近年では、世界各国の著名美術館においても刀剣・武具に関するショーが開催されるようになりました。これらは、刀剣・武具に秘める崇高な美の世界に寄せる関心度が以前にも増して高まっていることを示すものだと思います。
私たちの組合は、世界に誇れる日本の刀剣文化を伝承し、広くその素晴らしさを知っていただきたいと願い、商業活動の枠を超え、重要事業と位置づけ大刀剣市を開催してきました。
今年の特別企画展では、NHK大河ドラマの「平清盛」にちなんで「清盛と頼朝の時代の刀展」と題し、今から九百年前、貴族政治が混迷を極めた平安末期、平清盛らと同時代を生きた名工の刀剣を中心に陳列しました。会場の三階重文室は終日満員御礼の大盛況でした。
出品にご協力くださいました皆さまにはあらためて御礼申し上げます。
また、恒例となりました「現代刀匠による銘切りの実演」「我が家のお宝鑑定」も同時開催され、多くのお客さまで賑わいました。
毎年三日間の刀剣市ではありますが、出店された皆さまは夏真っ盛りの時期より魅力ある商品の選定と店舗企画の工夫をされ、また図録製作担当のボランティア組合員は、撮影の進行から打ち合わせ、校正などを重ねています。さまざまにご協力いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
こうした活動を通して、組合員同士が相互を理解し信頼を深めていくことが、大刀剣市のスムーズな運営に、ひいては固く団結した組合をつくり出すことにつながっていると思います。
初回より後援をいただいている産経新聞社、フジサンケイビジネスアイの両社、また協賛をいただいている全日本刀匠会などの関係各位には毎々格別のお引き立てを賜りまして、誠にありがとうございます。
ご来場の方々や組合員各位からの産経新聞社「明美ちゃん基金」へのご協力、ありがとうございました。
本年の大刀剣市は、十月二十五〜二十七日の三日間、同じく東京美術倶楽部での開催を予定しています。第二十三回大刀剣市の折の「東日本大震災復興支援チャリティーオークション」では、組合員から無償で寄せられた九十五点の品々すべてが落札され、それらの売上金三百三十六万八千円は全額、組合から被災地に寄付されました。今年の大刀剣市では、同様のチャリティーオークション開催が計画されています。皆さま、お楽しみに。
また、大刀剣市の日程に合わせて公益財団法人日本美術刀剣保存協会の全国大会が京王プラザホテルで開催されることになっており、当組合は全面的に協力する予定です。
なお、組合では、お客さまと円滑な商談ができるよう、本年の大刀剣市より商談スペースを設けることを検討しております。これに伴い、各テナントにブースの移動などをお願いすることが予想されます。ご協力をお願いします。
次回の大刀剣市にも多くの出店者が集い、たくさんのお客さまをお迎えできますように、相変わらぬご協力とご高配を賜りますようお願い申し上げます。(生野正)