「アート・オブ・アーマー(甲冑の美)展」が欧米各国で二年間にわたって開催され、大反響を呼んでいる。
これはアメリカの「アン・ガブリエル・バミューミュラー・コレクション」の中から甲冑・兜・面具・馬具・陣羽織・戦具など百十二点を厳選し展示するもので、展覧会を企画されたのはメトロポリタン美術館特別顧問およびボストン美術館顧問の小川盛弘氏。世界の人々にサムライの表道具の美を理解し楽しんでもらえればとの思いが、バミューミュラー夫妻の共感を呼び、巡回展の実現にこぎ着けた。
この展覧会は二〇一一年十月から一二年一月にかけてパリの国立クィブランリー美術館において、さらに同年四月から一三年一月までカナダ・ケベック市のシビリィーゼーション文化美術館にて開催された。
入場者はパリ展が十五万人以上、ケベック展が二十万人以上と、いずれも開館以来の最高を記録し、地元マスコミも今まで目にすることのなかったサムライ・アートに大きな驚きと称賛の声を寄せている。また、図録(売価約六千五百円)が合わせて二万部以上売れたという。
同展は今年四月十四日から八月四日までボストン美術館で開催されており、二十万人以上の入館が予想されている。
このような展覧会が欧米諸国において開かれ好評を博していることは、われわれ業界人にとって実にうれしく、ありがたいことである。今後は国内においても、日本刀をはじめ甲冑、武具などの「サムライ・アート」展を行政や博物館に働きかけ、関係者が協力し合って実現し、積極的に普及啓蒙に役立てていかなければならないことを痛感した。
(冥賀吉也)