名刀会は、今から二十年前の平成六年一月二十八日に「刀美会」として発足、その後「名刀会」として改組し今日に至るという。
前身の刀美会は、現在組合が所有して事務局を置く新宿のマンションの購入費用を、歩金で支払っていくという重い役目を担って発足した。それは折からの、いわゆる「バブルの崩壊」に遭遇し、資産価値は下がる一方で残債は残るという厳しい現実の中での会運営であったと聞く。
会は橋歳夫氏が代表会主となり、荒勢英一氏・飯田一雄氏・城所稔氏・黒川精吉氏・服部暁治氏・深海信彦氏・冥賀吉也氏ら八名が発起人となり、さらに朝倉万幸氏と齋藤光興氏の両名が加わった。刀美会発足の意義は、刀剣業界の健全性・継続性を保ち、交換会の発展を使命としており、十年をかけてその趣旨を全うし、刀美会の役目を終えたという。
その後平成十六年に「名刀会」と改組し、十名の均等出資による会として新たに発足したのである。
現在は橋歳夫氏・朝倉万幸氏・飯塚賢路氏・川島貴敏氏・黒川精吉氏・齋藤恒氏・新堀孝道氏・服部暁治氏・深海信彦氏・冥賀吉也氏が出資者に名を連ねてい
る。
刀美会から始まったこの会も、今年で二十周年を迎える。まだまだ暑い晩夏の最後を締めくくる八月二十四日、名刀会二十周年記念大会が、定宿のあたみ石亭で盛大に執り行われた。
会場には開始時刻を待ち切れない参会者の熱気があふれ、朝十時と同時に橋代表の挨拶から競りに入った。午前の成り行きから始まり、次々と並ぶ生ぶ荷に会場は瞬く間に盛り上がりを見せた。
午後も生ぶ荷からスタートし、最後の入札には平安期の重要刀剣や重要美術品などの名品も飛び出した。締めてみれば、一億八百万円という出来高をたたき出した。この数字は、刀剣業界の発展と交換会の健全化に尽くしてきた役員の方々の努力が、確実な成果となって実を結んだ証拠であろう。
橋氏曰く、「今一度兜の緒を締め、交換会におけるマナーをわきまえ、武士の表道具、刀剣、甲冑、小道具等を扱う刀剣商として、美術商の見本になるべきである」と。
そういった意識を高く保つこともまた、刀剣業界、交換会の健全性につながっているのであろう。
(大西芳生)