評判の定着した観のある「我が家のお宝鑑定」は、今年も会期中の三日間にわたり行われました。昨年は危うく台風の直撃を免れましたが、今年は初日に雨にたたられてしまいました。
私に関して言えば、鑑定会のお手伝いは昨年の経験もあるので、心に多少の余裕を持って望めました。
そもそも「我が家のお宝鑑定」は、依頼者の要望により品物の鑑定や評価を行うもので、これらは一切無料。売却を希望される場合は、あらためて組合事務所にてやりとりが行われ成約、という仕組みになっています。
今回の受付数は、三日間で九十九件でした。昨年は百十五件でしたので、一割強減っています。一件当たりの点数も、刀に関して言えば一振のみというのがかなりありました。昨年の対応がやや慌ただしかったのに比べると、今回は滞りなく全うできたと、係員一同自負できそうです。 「お宝鑑定」には毎回参加しているという方が十三人おり、三日間とも何かを持参してきた強者が二人いました。
私がお相手した方に限って言えば、やはり最近入手した品物の真偽と評価が気になっているようでした。中には自慢げに見せに来た方もいましたが…。ちなみに売却希望は十五件でした。
初参加の方々に「このお宝鑑定を知ったのは?」と伺ったところ、新聞広告がトップで、次がインターネットでした。ほかに出店者の案内、日本美術刀剣保存協会や友人の紹介があり、教育委員会から紹介されたという方もおられました。
エピソードを一つ―。
中年のご婦人が今は亡きご主人の遺愛の刀を持参され、売却したい旨を告げた後、刀に合掌してポロポロと涙を流し始めました。その様子に、応対していた清水専務理事も私も思わずホロリとしてしまいました。
来年はどんな方が見え、どんなお宝が現れるやら…。楽しみでもあり、プレッシャーでもあり…。
(赤荻 稔)