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第六回「新作日本刀・研磨・外装 刀職技術展覧会」 経産省・文化庁などが後援し、鉄の展示館で

第六回「新作日本刀・研磨・外装刀職技術展覧会」は、主催/公益財団法人日本刀文化振興協会・坂城町鉄の展示館・坂城町、後援/ 経済産業省・文化庁・長野県・坂城町教育委員会・SBC信越放送・TSBテレビ信州・ABN長野朝日放送・NBS長野放送・上田ケーブルテレビジョン、協力/全日本刀匠会により、五月三十日〜八月二日、昨年同様坂城町鉄の展示館にて開催されます。
 
長野県には五件の国宝指定建造物がありますが、このうち二つをこの周辺で見ることができます。一つは鎌倉時代後期に創建された信州最古の禅寺・安楽寺の八角三重塔。ここは「信州の鎌倉」と呼ばれる別所温泉です。もう一つはすぐ近くの青木村にある大法寺三重塔。その美しさで「見返りの塔」とも呼ばれています。
 
観光とも併せて鉄の展示館を訪れてはいかがでしょうか。
 
審査会は四月二十二日から三日間、研磨・作刀・外装の順に、経済産業省と文化庁の担当官の立ち会いの下、二十一人の審査員(うち六名は外部審査員)により厳正に行われました。
 
昨年からは地方開催で出品される方の負担も多くなりましたが、出品総数は昨年よりも増え、皆さまの期待の大きさを感じました。
 
研磨部門では出品数が増えた上に、まれに見る数の名品がありました。名品をお借りできることも研師の実力です。それもあって、何度も投票が繰り返されました。その結果、名刀(主に古名刀)の研ぎこなしの良し悪しが明暗を分けることになりました。勇気を出して名刀に挑んだことには大変価値があり、真摯に向き合えば大きな飛躍が期待できます。
 
作刀部門は昨年同様の出品数でしたが、初出品以来、高い評価を受け続けている若手が初めてトップに立ち、新しい風が吹き始めていると感じました。
 
外装の部門、刀装具・白銀・拵・柄巻き・鞘塗り・白鞘の中では刀装具が昨年より多く、他は例年並み。白鞘・刀装具では連続して出品している方の作品に研究の成果が現れ、技術水準の高い仕上がりになっていました。また、白銀・拵・柄巻き・鞘塗りでは各部門基本に忠実な作品に仕上がっていました。
 
出品することには技術の伝承と維持という大きな目標があります。次回も研究の成果を期待します。
 
今年良い成績を獲得した方々は来年以後も続かなければ、本当の実力とは認められません。良い仕事を会得するための努力は一生続くものです。また不本意な成績に終わった方々も、次回躍進を目指してご精進願いたいと思います。 
昨秋、鉄の展示館の入り口に、刀剣界の方々の熱い思いとご尽力により、立派な源清麿の記念碑が建立されました。
 
清麿は当時、今のように有名ではなく、水心子や固山の一門より格下に見られていましたが、特に戦後になり熱烈な愛好家や刀剣商、また地元の方々の熱意によって脚光を浴びるようになり、幕末を代表する名工となりました。
 
今年三月、八十九歳で他界した上方落語の巨匠桂米朝は「話す方も勉強が必要だが、聞く方にも責任がある」と話していました。そのひそみに倣えば、愛好家や刀剣商の方々のご意見は刀職者に良い刺激となりますので、ぜひご覧いただき、忌憚のないご意見をお願
いします。
 
主催者のみならず、刀職者自らが加わって運営されてきたこの展覧会からは、回を重ねるごとに明らかに優秀な作品が生まれ、技術の向上が認められ、継続することの意義はますます高まっています。
 
これまで支えていただいた多くの方々へ感謝するとともに、今後ますますの向上を目指して努力しなければならないと感じています。

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