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剣乱舞オンリー同人誌即売会「百刀繚乱〜君の心を白刃取り〜」 刀剣乱舞に起因する刀剣ブームに沸く

五月五日に東京ビッグサイトで開催された刀剣乱舞オンリー同人誌即売会「百刀繚乱〜君の心を白刃取り〜」を見学してきました。今回のイベントは東京ビッグサイト東一・二・三ホールを会場として四二七六サークルが参加、入場者数はサークル入場者・一般入場者で十万人を超えていたのではないでしょうか。
 
今回のイベントは当初募集していた一〇〇〇スペースから四〇〇〇スペースにまで開催規模が拡大したことと、公益財団法人日本美術刀剣保存協会(刀剣博物館)・公益財団法人徳川黎明会(徳川美術館)が出展を決定したことから話題となっていました。
 
十時開場にもかかわらず、早朝から人が押し寄せて列はみるみる伸び、まさに現代の参勤交代さながらの長い待機列を形成していたようです。筆者が到着した十一時ごろにはいくらか行列も緩和されていましたが、それでも入場するのに数十分の時間を要しました。
 
入場すると、その会場の広さ、ひしめく人混み、そして激しい熱気に圧倒されました。お気に入りの刀剣男子のコスプレに身を包んだコスプレイヤーも数多くいて、とても華やかでした。人混みで迷子になりそうになりながら同行してくれた審神者の一人、もとい、妻に連れられてようやく刀剣博物館のブースにたどり着くことができました。
 
ここでは、現代刀匠の石田国壽・高橋恒厳の両氏による銘切り実演が行われ、好評を博していました。銘切りは本来は刀の茎に銘を切りますが、金属のプレートを用いて希望の文字を切ります。十一時から一〇〇名限定ということでしたが、昼過ぎには早々と規定人数に達していたようです。
 
ほかに、刀剣博物館リーフレットの配布、機関誌『刀剣美術』の閲覧、たたら事業・作刀の様子などの写真展示、入門者向けなど関連書籍の販売、日刀保たたらで製造した玉鋼のサンプル販売(限定五〇〇個)、映画「たたら侍」のチラシの配布、刀剣博物館入館料割引券の配布などが行われていました。日本美術刀剣保存協会(刀剣博物館)のブースは終始、人波が絶えずに人気を集めていたブースの一つでした。
 
刀剣博物館は刀剣専門のすばらしい博物館です。ゲーム中に登場する新キャラクターにして、来国行の作で国宝にも指定されている「明石国行」と号のある太刀を所蔵しています。ブースを訪れた方には、ぜひ刀剣博物館にも一度足を運んでいただければと思います。
 
次にお隣の徳川美術館のブースをのぞかせていただくと、同館が所蔵し、ゲーム中でも人気の刀剣男子である名物「鯰尾藤四郎」の等身大ポスターが六〇〇部限定で販売されていました。また、「山姥切国広」の本歌(オリジナル)である長船長義の刀は「徳川家康展」に公開が決定したそうです。こちらでも徳川美術館の企画展のパンフレットなどが配布されていました。
 
徳川美術館は、御三家の筆頭である尾張徳川家関連の名品を収蔵する由緒ある美術館です。刀剣類も国内屈指の数多くの名刀を所蔵しており、刀剣に関する基礎知識がわかりやすく学べると人気のイベント「刀剣ファンビギナーズ」を開催するなど、フットワークの軽さでも定評があります。
 
ほかには、金沢印刷のブースで「わしの模造刀コレクション」と題し、模造刀が二〇振ほど展示されており、こちらも多くの人が見学されている様子で、やはり「刀剣」そのものにも興味や注目が集まっているように感じました。
 
九州は博多の二鶴堂が販売する黒田官兵衛愛用の名刀「圧切長谷部」を模した箱に入った約五〇センチのロングバームクーヘンも早々に売り切れていたようです。
 
刀剣乱舞の人気がやむ気配は微塵もなく、ますます人気を高めているようでした。今後も刀剣乱舞に起因する刀剣ブームは続き、博物館での名物刀剣を展示する企画展やイベントが数多く行われ、注目されていくのではないでしょうか。今秋に開催される刀剣業界最大の催事である「大刀剣市」にも多くの新しい愛刀家の方々にお越しいただける可能性を強くかんじました。
(冥賀亮典)

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