刀装具

茨城童子図鐔 銘 雪山
Tsuba design of Ibarakidouji
Signed by Setsuzan

鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀装具[N.B.T.H.K] Juyo Tousougu No.34

茨城童子図鐔 銘 雪山Tsuba design of IbarakidoujiSigned by Setsuzan
  • NO.B193
  • 銘文:雪山(花押)
  • Sign:Setsuzan(seal)
  • 時代:江戸時代-山城国(京都府)
  • 価格:¥6,600,000
  • ※刀剣美術443号所載品

江戸時代中期、京都金工の三傑と謳われた一宮長常の重要刀装具指定作品。
一宮長常は享保六年(1721年)に越前敦賀に生まれ滅金師となり、後に京に上り後藤系の保井高長に師事し、初期は雪山と銘し、後に長常と改銘、含章子と号した。また、絵画を円山応挙の師として著名な石田幽汀に学んだ。後藤流の高彫も上手だが、平象眼に片切彫でも名を馳せ、遂には「東の宗珉、西の長常」とまで謳われ、さらに鉄元堂正楽、大月光興と共に「京都金工の三傑」とも称えられる最高位の金工師の1人となった。天明六年(1786年)、66歳没。
掲出の作品は源頼光の臣下、渡辺綱が羅生門で茨城童子の片腕を切り落とすという能楽の「羅生門」を題材にした鉄鐔である。鉄地に鋤出高彫で羅生門と逃げる茨城童子をあらわし、据紋で配した下方の兜が渡辺綱を暗示した留守模様である。渡辺綱は頼光四天王の筆頭として剛勇で知られ、大江山の酒呑童子退治や京都の一条戻橋で鬼の腕を源氏の名刀「髭切の太刀」で切り落とした逸話は特に有名でよく知られている。なお本作の画題「羅生門」は一条戻橋の舞台を羅生門に移し替えた謡曲である。銘は雪山、京都金工の大家、越前大掾長常の若銘であり、高い彫金技術と共に、石田幽汀に学んだ彼の抜きん出た写生力と構図の妙を示した同作中の優品である。

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