鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣[N.B.T.H.K]Tokubetsu Hozon Token
- No.826
- 銘文:大慶直胤(花押) 文政五年仲春
- Sign:Taikei Naotane A.D.1822
- 種別:脇差 Wakizashi
- 寸法:1尺2寸6分半(38.3cm)反り0.6cm 元幅 2.9cm 元重0.6cm
- 時代:江戸時代ー武蔵国(東京都)
- 価格:御売約 Sold Out
- 付:日本刀随感新刀編二所載 佐藤寒山鞘書
江戸時代、武蔵国で活躍した名工、大慶直胤の特別保存刀剣指定作品。
直胤は文政4年に筑前大掾を受領し、嘉永元年に上洛し美濃介に転じている。彼は若年の折に江戸に出て、水心子正秀の門に入り、後師と同様に秋元候に仕え、細川正義と共に水心子正秀門下の逸材となった。新々刀最上作。
掲出の作品は身幅の割に寸が長く、先反りごころな平造りの体配に、刃文は匂出来の箱がかった乱刃を焼き、小さく鋭く尖って返る、所謂「ロウソクの芯」と称される帽子を焼いた、応永備前、盛光、康光の作風を再現した見事な作品である。幕末の時代に室町時代初期の作風をここまで見事に再現する直胤の技量も見事ながら、本歌に比べ体配をより大振りに、しかし地鉄はむしろ潤い豊かに仕上げたのは直胤の美意識と技量の高さを示し、片岡氏曰く義胤の手によるとある表裏に広く鋭く施された彫物も見事で本作の作域を一層高めており見事な傑作である。