鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀剣[N.B.T.H.K] Juyo Token No.17
- No.849
- 銘文:備州住正(広以下切)(古三原)
- Sign:Bishu ju Masa(hiro)
- 種別:Tachi and Shirasaya
- 寸法:2尺3寸9分(72.6cm)反り 2.0cm 元幅 2.8cm 先幅 1.9cm 元重 0.6cm
- 時代:南北朝時代ー備後国(広島県)
- 伝来:徳川家斉→丹羽氏昭→三井家
- 価格:御売約 Sold Out
南北朝時代に備後国(広島県)にて作刀した古三原正広の重要刀剣指定作品。
備後国三原派は鎌倉時代後期に興り、以後室町時代に至るまで繁栄した。一派のうち鎌倉時代から南北朝時代のものを古三原と呼称している。正広について銘鑑では同名を六人あげ、数代同名が存在したとみられ、貞治からの年紀作が残されている。本作は現存稀少な三原正広在銘の太刀で、大きく磨上ながらもなお反り高く、小切先に結んだ優美な体配を示しており、地鉄は小板目肌がよくつみ、地沸厚くつき、刃文は直刃調浅くのたれ、沸よくつき、逆がかった小足や葉の働きがよく入り、一見すると古青江物の名作を思わせる風合いを示しているが、帽子を焼き下げ、銘の位置より勘案すると元は2尺7寸を超え、腰反りの極めて強くついた姿を示していたと鑑られ、古来伝わる古三原の特徴を堅持している。同作の在銘作は大切先に結んだ南北朝体配を示した物が見られるが、本作は一見して鎌倉時代「隠の太刀姿」を示しており、作風も古調である。古来正広の作は長銘と二字銘があり、前者の作中には年紀作よりもより古く鑑られるものがあると伝えている。重要刀剣指定時の解説にも「南北朝初期を下らず」とあるが、過去経眼した同作中、最も古様な作域を示し、かつ作域の優れた名刀である。佐藤寒山氏による鞘書によると、享和三年(1804年)に播磨国三草藩四代目藩主、丹羽氏昭が将軍徳川家斉より拝領し、後に三井家の所蔵となった伝来が記されている。