鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀装具[N.B.T.H.K]Tokubetsu Hozon Tosougu
- NO.B210
- 銘文:紋祐乗 光守(花押)
- Sign:Mon Yujyo Mitsumori(Seal)
- 時代:室町時代
- 価格:御売約 Sold Out
後藤家14代後藤光守によって後藤家初代祐乗の作品と極められた特別保存刀装具指定作品。
後藤家初代祐乗は永享十二年(1440年)に生まれ、幼名は経光丸、通称を四郎兵衛尉と呼び、将軍足利義政に仕えた日本彫金師の元祖と称えられる名工である。後藤家の歴代は以後明治に至るまで長い時を各将軍家の御用を務める名誉に賜り、装剣金工の本家となったことから御家彫、御家流と尊称されている。永正九年(1512年)73歳で没したという。
本作は林檎をモチーフにした実に珍しい図柄の小柄である。林檎は古代中国から日本に伝来したと云われ、平安時代の書物には既に記述がみられる。戦国時代には大名家での贈答品として用いられた記録がまま残されており、上流階級で珍重されていた様子を窺い知ることができる。西洋絵画では古来よく扱われるモチーフであるが、日本でも室町時代にすでに祐乗の手によって画題として用いられていたというのは興味深い事実である。高彫で彫り出された林檎の実は一見簡単に見えるが、たわわに実った様子が見事に描き出され、後藤家らしい上質な赤銅の漆黒により実に格調高く纏められた逸品である。