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正宗十哲ー名刀匠正宗とその弟子たちー
ふくやま美術館で開催中

正宗十哲ー名刀匠正宗とその弟子たちーふくやま美術館で開催中

2024年、2月18日から広島県福山市のふくやま美術館にて名刀匠正宗とその作風を受け継いだとされる諸国の刀工たちの系譜を辿る素晴らしい展覧会が開催されています。展示される作品は正宗という巨匠を軸に山城国の粟田口国綱、備前国の三郎国宗、福岡一文字助真、新藤五国光や行光など正宗の先人、並びに正宗に私淑もしくは相州伝に傾倒し作風に取り入れたとして十哲と称される山城国の来国次と長谷部国重、美濃国の兼氏と金重、越中国の郷義弘と則重、石見国の直綱、備前国の兼光と長義、筑前国の左文字、そして正統継承者とされる貞宗。

国宝10振、重要文化財15振を含む数多の名品が主催の刀剣博物館、ふくやま美術館の他、林原美術館、三井記念美術館、佐野美術館、徳川美術館、永青文庫、柏原美術館といった全国の博物館、美術館から集められ一堂に会した景色はまさに圧巻であり、特に普段では中々目にすることが難しい文化庁や皇居三の丸尚蔵館の蔵品が拝見できる貴重な機会となります。
展示品リストはこちら

力強い姿に鮮やかに咲き誇る匂出来の刃文を有する備前伝と艶やかかつ妖艶にたなびく沸出来の刃文を持つ相州伝、三者三様とも言えるそれぞれに独特な作風を示す正宗の名物たち、包丁、菖蒲、冠落、片切刃や大平造といった多彩で個性的な造込みや作風を示す作品群の対比は何度見直しても楽しめる素晴らしい展覧会です。


また展覧会図録は前期の刀剣博物館では増刷後も早々に売り切れ、ふくやま美術館でのレセプション時にもミュージアムショップでまとめて購入する人々の姿が見られました。全出品作に写真と押し形が添えられ、巻末には石井彰、原田一敏、井本悠紀、月村紀乃各学芸員が「相州伝の完成者正宗と正宗十哲について」「史料からみた正宗の評価」「正宗抹殺論が果たした意義を考える」「名刀匠正宗のイメージはどのように受け継がれたかー興行演目と正宗説話」と題した優れた論考が掲載された名図録である。正宗を題した展覧会は筆者の記憶では2002年に行われた特別展「正宗ー日本刀の天才とその系譜」が印象深いが、当時も展覧会図録が売り切れ、のちにプレミア図録となって高額で売買されていました。まだ購入されていない方は早めに手に入れることをお勧めします。購入方法はこちら

 

昨今では各地で刀剣展覧会が増えたおかげで周遊も楽しい、ふくやま美術館では大阪の中之島香雪美術館で企画展「館蔵 刀剣コレクション 刀と拵の美」が同時期に開催されており他にも多数の展覧会が開催されており事前に計画を立てて周遊してみてはいかがでしょうか。

最新情報はふくやま美術館ホームページへ

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