鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀装具[N.B.T.H.K]Tokubetsu Hozon Tousougu
- NO.B248
- 無銘 神吉深信
- 寸法:80.6mm 77.6mm 5.2mm
- 時代:江戸時代
- 価格:御売約 Sold Out
- 「肥後金工大鑑」「MUSEUM 157号」「第三回 熊本の美術」所載 杉田利一旧蔵
神吉派は春日派に属する肥後鐔工であり、初代寿平忠光が安永七年(1728)に肥後藩命により林三代藤八門下で林家秘伝の錆付法を伝授され、肥後藩細川家の鍵工に抱えられたことに始まる。家系は忠光を初代として深信、楽寿と続く。祖先は丹後国田辺の出身で、細川家に随従して豊前を経て肥後に来住した。神吉二代目の深信は、初代寿平忠光の長男として天明六年(1786)に生まれた。はじめ国平と名乗り、文政四年(1821)父の没後に寿平と改名した。嘉永四年(1851)八月一日に六十六歳で没し、戒名を以信院宗得日入信士という。
二代目深信の鐔には在銘も多く遺されているが、いずれも茎孔に上4つ下7つの隠鏨が施されていることから、その作者は明らかとなる。深信の作品は、いささかの誇張もなく誠実そのもので、実に品格が優れていると云える。一般に丁寧な作が多く、とりわけ透鐔に優れている。本作は東京国立博物館美術誌「MUSEUM 157号」、佐藤寒山編「肥後金工大鑑」に所載され、熊本県立美術館で開催された「第三回 熊本の美術 肥後の金工」(加島 進慣習)にも出典された古来有名な作品で、切羽台を甲羅に見立てた蟹の容姿を地透で表した見事な傑作で、同図が尾張鐔に見られるため、その意匠の注文を受けた特注品であると云われている。