刀剣界ニュース

「宮入法廣作刀展」長野県無形文化財認定を記念し開催

 「刀匠宮入法廣作刀展2011」が七月二十四日〜八月二十八日、刀匠の鍛錬場にほど近い東とう御み市・梅野記念絵画館において開催された。
 この作刀展は今年三月、宮入刀匠が長野県無形文化財に認定されたことを記念し、東御市が主催したものである。同刀匠の作刀展は平成十六年に続き二回目ということで、十七年以降に製作された中から特に選りすぐり、刀剣類十一点、刀子六点が展示された。展示、配置等に関しては、刀匠自らが創意工夫したといい、黒塗りのケースに一点一点丁寧に飾られていた。
 まず会場入り口には華やかな丁子乱れを焼いた四尺の大太刀が展示され、中央には平成二十二年に刀剣界の最高峰「正宗賞」を受賞した備前景光写しの短刀、その真向かいに備前伝から相州伝への飛躍を思わせる二筋樋の入った志津写しの会心作が展示されていた。
 現在、備前伝が大流行の中にあって、相州伝の志津写しの挑戦は、刀匠の大いなる勇気と希望を感じさせる一振でもあった。
 「宮入法廣(花押)平成二十三年三月二十八日」と銘した最新作の太刀があった。この年紀は刀匠が長野県無形文化財に認定されたメモリアル記念日である。作風は隅谷丁子を見事に再現しており、恩師隅谷正峯先生に感謝を込めて製作したことが想像される。
 宮入刀匠は、人一倍器用な天性を持っている。そのことは今回、宮内庁正倉院事務局のご配慮により特別出品された正倉院宝物復元模造刀子一対からもうかがい知ることができる。
 ほかに聖武天皇の橘夫人が東大寺盧舎那仏に献納したといわれる正倉院宝物の刀子復元品を含め、五点の刀子が展示されている。これらはそれぞれ製期間数カ月を要したという。まさに芸術品ぞろいである。
 今回の作刀展は、展示数こそ多くはないが、どの作品も非常に見応えがあり、充実した展示内容であった。なお、展示されたすべての作品を掲載した、立派な図録も製作されていた。

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