刀剣界ニュース

祈りのかたち―刀工宮入小左衛門行平展

去る二月四日から二月十日まで、高崎高島屋五階アートギャラリーにて、「祈りのかたち―刀工宮入小左衛門行平展」が開催されました。
 
高崎の地では、数年前まで別会場で開催されていましたが、充電期間を経て高崎高島屋での初開催となり、待ちわびた、そして新たな多数の方々のご来場もあり、会場は熱気に包まれました。
 
本展では、古来から継承されてきた鍛刀技法により作り上げた刀剣類に一部拵も添え、最新作の二十数点を中心に、一門の川晶平・河内一平・根津秀平・上山輝平の作品も、賛助出品として展示販売しました。
 「祈りのかたち」と題された本展では、日本刀に宿る精神性と、そこから発せられる魅力や美しさのかたちが存分に感じられる作品が並び、会場に足を運んでいただいた方々の心に深く伝わったようでした。
 
会期半ばの二月七日には、宮入小左衛門行平氏本人によるギャラリートークも開催されました。
 
会場は満席となる活況ぶりで、皆さまとても熱心に聞き入っていました。トークは終始和やかに進み、太刀と刀の違いや、名刀とはどういうものかなど一般的な話から、自身の得意とする作風や、弟子をとって作刀技術を継承する意義についてなど多岐に渡り、予定を大幅にオーバーするほどで、満場の拍手に包まれお開きとなりました。
 
今回ご来場の中には、本物の日本刀を間近で見るのは初めてとおっしゃる方もたくさんいましたが、こうして今回、日本刀の素晴らしさに出会っていただけて本当に良かったと思います。
 
日本刀は武器としてだけでなく、古くからその美しさも賞玩され、精神的な何か.をたたえた器としても尊ばれてきました。そのような日本刀が、古来から大事に残されてきただけでなく、その製作技術も現代に受け継がれているということの意義をしっかりと認識しつつ、多くの人々にそのことをお伝えしていくことも、また現代に生きる刀鍛冶の責任であるということを肝に銘じた七日間でした。
(刀匠・根津啓)

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