鑑定書内容:財)日本美術刀剣保存協会 重要刀剣[N.B.T.H.K]Juyo Token No.23

- NO.824
- 銘文:国安(堀川)
- Sign:Kuniyasu
- 種別:白鞘短刀 Tanto
- 寸法:1尺8分(32.8cm) 反り 0.6cm 元幅 2.7cm 元重0.5cm
- 時代:江戸時代ー山城国(京都府)
- 価格:¥6,600,000
江戸時代、山城国、堀川国広の門人として活躍した国安の重要刀剣指定作品。
堀川国安は「田中家系図」によると通称を三郎太夫と称し、国広を長兄に国政、国次、そして国安が末弟と記載されている。同作は一門中比較的に作品が少ない刀工であり、作風、茎仕立てなど国広に非常に近似している点から、従来国広の代作に勤めていた為とも言われており、在銘作の作位の高さからも相当な腕達者である事がわかる。
掲出の作品は1尺を八分越える長寸の平打ち短刀で、慶長新刀らしい豪壮な体配に、刃中は金筋・砂流しを激しく交えた沸出来の互の目乱れに、地鉄は肌目が一段と強調された堀川派特有の「ザングリ肌」を示し、同作の特徴と本領が遺憾無く発揮された名刀である。また特筆すべきは銘文にあり、かつて三様あると言われた国安の銘形において晩年銘か(佐藤寒山説)、はたまた国安同人か(本間薫山説)とも言われた銘字であるが、近年元刀剣博物館学芸員の岩田隆氏が「堀川国広とその一門」図録上にて発表した「国次が代銘した国安銘」がまさに本作であり、偶然にもその国次在銘作も当店で過去に扱いがあり、常の銘字と比べてみるとなるほど同説は頷けるものであり、筆者も同意するところである。国広一門の研究を一歩進めたまさに好資料であり、また改めて岩田氏の鑑定眼には憧憬を覚えるものである。※本作には重要刀剣指定証明書が付帯となっている。
左より国次自身銘、国次が代銘した国安銘(本作)、一般見られる国安自身銘(第12回特別重要刀剣図譜より転載)